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マクドナルド、サイゼリヤetc. 苦境の「飲食業界」社員の口コミに見る実情

ビジネス

サザビーリーグ、ドトール社員の口コミ

ドトール

ドトールコーヒーショップ Doutor Coffee shop facade on April 10, 2017 in Kyoto, Japan ©Walter Eric Sy/dreamstime

【株式会社サザビーリーグ】(HD、管理部門、在籍5~10年、女性)
強み:一部、個性のあるブランドを保有している。
弱み:安定志向の社員が多く、世の中を熱狂させる企業ではなくなっている。
事業展望:海外ブランドを日本に持って来て、日本で売る時代じゃないとおもう

【株式会社ドトールコーヒー】(店舗、在籍3~5年、男性)
強み:財務面。借入がなく回しているのは優秀と思う。
弱み:コロナウイルスの感染拡大により、店舗がやむなく休業となった。会社売り上げはこの休業の影響をダイレクトに受けたことで、売り上げは低迷となった。売り上げは基本的に店舗に依存している。今後、万が一災害等が発生した場合に備えて、店舗以外でも安定して稼げる仕組みが必要になると考えられる。しかしフランチャイズ方式をとっているので、店舗以外に力を入れ過ぎるとオーナーは離れていってしまう。どちらも大切であるので、バランスよく進めていく経営手腕が問われる。
事業展望:店舗売り上げが会社売り上げに直結している。どのような店舗を今後作り上げていくのか、どのように集客し、どのような空間を提供していくのかが求められる。ドトールコーヒーとして既存店舗をマイナーチェンジによりブランドイメージを底上げしていくのか、新たなブランドを立ち上げて挑戦していくのか、今後の事業報告による。

【株式会社JR東日本フーズ】(営業、車内販売、車内販売員、在籍3~5年、女性)
強み:JR関係なのでなくならないと思う。安定はしている。
弱み:正社員で末長く働けるようになったようなので、特にないと思う。
事業展望:鉄道自体がこれから人口減少でどうなるかわからないと思う。

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 このように比較すると、各社が扱っている事業以外の特徴が見えてきます。コロナウイルスと自社との関連性に言及しているクチコミも一部見られますが、口コミ数が多い企業≒原則的に各業界の大手・有名企業ということもあり、企業体力が多い企業が中心です。それもあって、自社の今後については比較的好意的にとらえているものが多いように感じました。

 しかし、クチコミは「イチ社員からみた意見」でもあるので、この項目のみで各企業の特徴・強みが過不足なくわかるわけではありません。クチコミ数が少ないなど、情報量が少ない傾向が見受けられる業界・企業の場合は、公式サイトの情報も併せて確認するのがよいでしょう。

 次の項目ではこれらのデータをもとに、さらに整理・要約していきます。

「フードサービス・飲食業界」の特徴について

 上記のクチコミを踏まえると、「フードサービス・飲食業界」の上位企業は大きく2タイプに分けられます。

・タイプ1:社名=メイン業態(マクドナルド・スターバックスコーヒー・サイゼリヤ・ドトールコーヒー)
・タイプ2:複数業態を運営(すかいらーく・ワタミ・モンテローザ・サザビーリーグ・JR東日本フーズ)

 タイプ1の企業の場合、メイン業態がはっきりしているので、メイン業態に強い愛着を持っている場合は異動リスクも比較的少なく、長く働きやすいと考えられます。一方、デメリットとしては業態や仕事に慣れてしまうと、その企業で「やれること」が限られてしまい、転職以外に選択肢がなくなりやすいことです。

 一方、タイプ2の企業の場合、「別の業態・店舗に異動する」のがストレスになる人には向かないですが、飽きが来るのが早いタイプの場合には、むしろそれがメリットになりえます。タイプ1の企業と比べて別業態・店舗への異動希望を出すチャンスが多くなるからです

 ただ、業態間の壁が厚いタイプの企業もあるので、異動のしやすさを把握するには、面接時などにその点について、面接官に質問してみることをお勧めします。「実際に異動したことがある人の話を聞きたい」というような希望を出してみてもよいでしょう。採用を積極的に行っている企業の場合、採用したい相手からのそのようなリクエストは好意的に対応してもらえる可能性が高いです。

 いずれのタイプの企業を目指すにせよ、ご自身の性格・性質をよく知ったうえで決めることをお勧めします。「万人にとって」良い企業・悪い企業というのは存在しませんが、「ご自身にとって」良い企業・悪い企業は確実に存在するからです。

 記事というのは多くの人に読まれる必要があり、その都合上、有名企業を中心に取り上げていますが、筆者自身は周囲の評判や有名度「のみ」で決めることは非推奨の立場です。最終的にはご自身との「相性」のみで決めるべきと考えています。本稿がご自身の希望業界分析の際に少しでも参考になれば幸いです。

<TEXT/アラートさん(@blackc_alert) 協力/OpenWork[オープンワーク]>

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。
Twitter:@blackc_alert
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