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ファミリーマートが「独り負け」状態。加盟店や従業員の声は

ビジネス

伊藤忠、ドン・キホーテとの関係

 続いて、さきほどの利益の内訳内で出てきた「カネ美(かねみ)」および、ファミリーマートの企業的な立ち位置についての解説に進みます。

 カネ美は「カネ美食品」のことを指し、惣菜・弁当の製造とスーパー内等での販売を手掛ける愛知県の企業です。元はユニー・ファミリーマートHD社の子会社でしたが、2019年4月12日に保有株式の一部がパン・パシフィック・インターナショナルHD(PPIH。ドン・キホーテの運営元)に譲渡されています。

 ユニー・ファミリーマートHDは2017年11月・2019年1月と2回に分けてユニーの全株式を現在のPPIHに譲渡し、2019年4月にはカネ美食品の一部株式もPPIHに譲渡します。「株式会社ファミリーマート 2019年度決算・2020年度経営計画」には2020年度の重点施策として「PPIHとの協業」が掲げられており、商品開発・海外展開での提携を中心として今後も提携関係は継続していく見込みです。

 また、ファミリーマート社は2018年8月に伊藤忠商事が子会社化しています。直近の意思決定に伊藤忠商事も一定程度関わっていると言えそうです。

フランチャイズオーナーとの関係性について

コンビニ サラリーマン

※イメージです(以下同じ)

 コンビニエンスストアと言えば、フランチャイズオーナーとの関係性も重要です。冒頭で示した時短営業を容認する施策も、オーナーとの関係性改善に関わるものです。

 ファミリーマートがどのような施策を行っていたかについて簡単に確認します。ファミリーマートは2016年に競合・サークルKサンクスを傘下に入れたのち、それ以降は店舗数を減少させ、新規出店を抑制していました。そして、2020年3月からは「店舗再生本部」を新設し、低収益店舗を直営化し、収益改善したのちに再度フランチャイズ化する動きを進めています。

 しかし、フランチャイズチェーン(FC)加盟店の男性従業員(当時62歳)が2012年に勤務中に事故死した事件について、2016年12月に遺族との和解が報じられました(和解金は当該フランチャイズオーナーとファミマが分担して支払い)。フランチャイズ店舗での劣悪な環境が全くなかったかというと否定しきれない面があります。

 そして、フランチャイズオーナーを労働者と認定するかについては、各労働委員会でも判断が割れている面があり(2015年に東京都労働委員会は「労働者性がある」と認定したものの 、2019年に中央労働委員会は「労働者には当たらない」と認定)、断定は難しい状況です。今後もより良い在り方を探る必要があるでしょう。

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