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ドミノピザ、コロナ特需か5200人を大量採用。業績と働きやすさを分析する

ビジネス

自己資本利益率を引き上げるメリットは?

 自己資本比率が下がった理由について「純資産の部」のうち「株主資本」の詳細項目をみて確認していきます。

ドミノピザ

表1:2017年度・2018年度の株主資本の比較(決算公告より筆者作成)

 このことから株主資本の金額が大きく下がっているのは「自社株買い」によるものであることが判明しました。自社株買いには一般的には下記のような目的があります。同社は非上場企業のため、今回は(4)を目的にしていると考えられます。

1:株主への還元
2:ストックオプション
3:株価上昇
4:ROE(自己資本利益率)を引き上げて投資家の注目を集める

 なぜ(4)が投資家の注目を集めるのかというと、ROEが高いということは、「投資家・企業から集めた資金=自己資本」を使って、効率よく利益を生み出していることを示すからです。投資家としては企業に預けたお金が「効率よく増える=利益を生み出せる」ですから、ROEが高い企業により、多くの金額を預けたいと考えます。

 なお、ドミノピザ・ジャパンの場合は、アメリカ本国側も同様の行動をしており、「自社株買いで債務超過」の状態になっています。したがって、ここからも裏付けをとることができます。

自己資本利益率は改善しているのか?

 さて、自社株買いによって目的の「ROEの改善」は果たされているのでしょうか。こちらもグラフで整理してみました。

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図3:ROEの推移(決算公告より筆者作成)

 ROEで見ると、2018年度以降、見事なまでに上昇しています。したがって、自己資本比率の低下は本国の方針(積極的な自社株買い)と足並みをそろえた結果だと言えます。

 なお、ドミノピザ・ジャパン社といえば、2011年時点で配達状況と連動した動画キャンペーンを実施したり 、2015年にLINE公式アカウントでの注文を受け付けたりと、先進的なネット施策が印象的です。しかし、実はソフトウェア関連の資産額はそこまで高くなく、ソフトウェア費目の金額シェアは、無形固定資産のうち2.7~12.5%にとどまっています。

 これは、少額の投資で効果的な施策が打てている例です。

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