コロナで急に解雇通告。見つけた転職先からも“まさかの要請”が…
運よく転職が決定したけれど…
急遽、新しい職場を探すハメになった牧田さんは、この失敗を活かして大手企業に絞って転職活動を始めました。アパレル時代からコミュニケーションが好きだったこともあり、「チームで働きたい」と考えたのです。
「いくつか面接を受けましたが、運よく、第1志望の会社に採用が決定。社長にも気に入っていただき、ここだったら長く働けるんじゃないかって思いました。世の中の状況的に苦戦することも覚悟してましたが、すぐに次が見つかってホッとしました」
新しい環境に向けて着々と準備を進める牧田さん宛に、転職先の社長から連絡があったのは、入社まであと1週間ほどに迫っていた時のことでした。連絡の趣旨は、「新型コロナの影響でテレワークを導入することになり、準備が整う4月中旬まで入社を待って欲しい」というものでした。
「3月いっぱいで退社が決まっていたし、蓄えがある訳ではないので、出来ればすぐに入りたかったです。でもこのご時世だし仕方ないですね…」
緊急事態宣言で大ピンチ
待機の期間をムダに過ごすのももったいないので、少しでも会社に貢献するべく、Webデザインの勉強をしながら毎日を過ごしていた牧田さん。そんな状況がさらに悪化したのは、4月7日、政府による「緊急事態宣言」が発令されてから。早速、社長から電話がかかってきて、「緊急事態宣言の一応の期限である5月6日まで、入社を待って欲しい」と懇願されました。
「記者会見を見ていて嫌な予感がしましたが、残念ながら的中してしまいました。今から新しい会社を探すのは厳しいし、前の会社は自主退職なので、まだ失業保険ももらえません……」
さらに5月4日、政府は緊急事態宣言を5月末まで延長することを発表しました。一体、いつになったら入社できるのか…?
最近では、各種給付金の対象に当てはまるのか、ニュースを逐一チェックしているものの、政府の方針の転換にヤキモキしているとのこと。せめて「内定取り消し」だけにはならないように天に祈りながら、不安な毎日を過ごしているそうです。
― 特集 新型コロナ・若者の憂鬱 ―
<TEXT/黒岩秀利 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>