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「ブルース・リーになりたかった」鬼才・三池崇史監督が語る創作の最前線

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アンケート取って名作になるなら、誰でもやってる

初恋

――さすがです(笑)。

三池:ただ、そのシステムでもいいなと思うところはあるんですよ。1回ちゃんと仕上げてから、もう1回冷静に観るチャンスがある。日本は仕上げて一発勝負。完成したら終わりで公開。

 でもハリウッド方式だと、1週間後に作り直すことができるんです。「はい、はい」ってうなずいて、自分の思うように音楽を変えたり、タイミングを変えたりできるんです(笑)。

――なるほど。

三池:リサーチ自体に効果のある作品もあるとは思います。一定の効力はある。でも92%のものを92.6%にするくらいだと思います。アンケート取っていじりなおして名作になるんだったら、誰でもやりますから。

メジャーとマイナーも逆転する

初恋

――今まで貫いてきたからこそ、三池映画があるのだと思いますが、三池監督作品は、すごく個性的でありながら、商業映画としても成り立っています。

三池:それは僕が何か秀でた主張や個性があるわけじゃなくて、“1人のブルース・リーファン”として映画を作るところがあるんじゃないかな。僕は子どもの頃はブルース・リーになりたかったから。

――そうなんですね(笑)。

三池:子供の頃は、世の中で流行っていた漫画とかアニメとかを素直に好きだったし、ポップであるということに何の抵抗もない。サブカルを気取ったりするのは、逆に無理があったりする。

 僕らの世代だとね、ちょうど中学に入り出したときに、「ザ・ビートルズを聴いてるかどうか」みたいなのがあったんですよ。僕は全然興味なかったし、聞いても「別に」って感じだった。それよりもピンクレディとかのほうが好きだった。

 今だとザ・ビートルズはメジャーですけどね、昔はちょっと背伸びしてるような人々が聴いていた。つまりそれくらいの違いなんですよ。時代と視点が変われば、マイナーやカルトだったものがメジャーになったりする。

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