シャープ、ZOZOは…?社員から見たM&Aの「残酷な現実」
双方の立場で全く異なる景色が広がる
会社を買いたいと考えている人間にとっては、会社経営をできるようになるという夢が膨らみ、M&Aの増加傾向はうれしくわくわくするニュースかもしれません。一方で、サラリーマンの立場になってみると、全く異なる世界が見えてくるのです。
M&Aで「会社を買収する人が増える」ということは、それ以上に「自分の会社を売却される人」が増えるということです。
例えば10人の会社を買収するとしましょう。すると、M&Aを通して会社のオーナーとなる人間は1人ですが、自分の勤め先の会社が売却されたという経験をする人は10人いることになります。
M&Aの件数が増えるということは、その数十倍もの人が「自分の会社が売却された」という経験をする事になるのです。
大きな影響を受けやすいのは中小企業
M&Aで自分の勤め先の会社が売却されるということは、自身を取り巻く職場環境が急変してしまう大変な事態なのです。近年は事業承継型の中小企業M&Aが特に増加傾向です。事業承継型のM&Aでは、これまでオーナーとして手腕をふるっていた社長が引退し、全く新しい人間がオーナーとなるということになります。
これまでオーナーとして会社の事業・人間関係を支えていた人間がいなくなり、事情が分かっていない新しいオーナーが仕事に指図してくるということになるのです。
このようなケースでは、会社規模が数百人と大きければオーナーチャンジしたとしても従業員が受ける影響は間接的で比較的小さいものの、会社規模が数十人未満の会社の従業員であれば、オーナーチェンジによる会社方針の変更は大きく影響を受けることになります。