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「好き」を仕事にしている人が、結局伸びない理由

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仕事への情熱は自分が注いだリソースの量に比例

「好きを仕事に」と並んでよく聞くのが、「情熱を持てる仕事を探しなさい」というアドバイスでしょう。誰のなかにも仕事への熱い思いが眠っており、あとはその情熱に火を点けてくれる職、つまり天職を探すだけだ、というわけです。

 良く言えば夢のある発想ですが、これまたデータとは相容れません。というのも天職とは、どこか別のところにあるものではなく、自分のなかで養っていくものだからです。

 くわしく説明しましょう。2014年にロイファナ大学が多数の起業家にアンケートを行い、それぞれが「いまの仕事をどれだけ天職だととらえているか?」を尋ね、「仕事に投入している努力の量」や、「毎日どれだけワクワクしながら働けているか?」といったポイントをチェックしました。

 その結果わかったのは、次のような事実です。

・いまの仕事に対する情熱の量は、前の週に注いだ努力の量に比例していた
・過去に注いできた努力の量が多くなるほど、現時点での情熱の量も増加した

 被験者のなかで、最初から自分の仕事を天職だと考えていた人はほぼいませんでした。最初のうちはなんとなく仕事を始めたのに、それに努力を注ぎ込むうちに情熱が高まり、天職に変わった人がほとんどだったのです。

仕事の内容は適職探しに影響を与えない

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 このような現象は、仕事以外の場面でもおなじみでしょう。もしあなたが高価なフィギュアをコレクションしていたら、お金を使ったぶんだけ愛着が増し、何があっても手放せない気分になるはずです。その他にも、大金をつぎ込んだパチンコ台ほど離れにくくなったり、楽器を練習するほど音楽が楽しくなったりと、似たような例はいくらでもあります。

 要するに「情熱を持てる仕事」とは、この世のどこかであなたを待っている献身的な存在ではありません。その仕事に情熱を持てるかどうかは、あなたが人生で注いだリソースの量に比例するのです。

 ジョージタウン大学のカル・ニューポートは、自分の仕事を「天職」だと考えている人たちにインタビューを行った結果、こんな結論にたどり着いています。「天職に就くことができた人の大半は、事前に『人生の目的』を決めていなかった。彼らが天職を得たのは、ほとんどが偶然の産物だったのだ」

 仕事の種類や内容は、あなたの適職探しに影響を与えません。逆に言えばどのような仕事だろうが、あなたにとっての適職になり得るわけです。

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