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CM連発の「メルカリ」に黄信号。好調に見えても現金流出が止まらない

ビジネス

“現金(キャッシュ)”はほとんど稼げていない

 会社経営において、キャッシュの確保はとても重要な要素です。黒字倒産という言葉が存在するように、損益計算書上では利益を出し黒字だったとしても、事業を運営するための現金(給与支払いなど)が枯渇すれば、会社の事業は停止し破綻してしまいます。

 それでは、キャッシュ状況を見てみましょう。営業キャッシュフローを確認することで、本業の事業活動を通して、どの程度現金を獲得できているか知ることができます。

 株式会社メルカリの営業キャッシュフローを見てみると、現金を生み出すどころか、本業の事業活動によって現金の流出が拡大し続けていることがわかります。直近年度では、年間約70億円の現金流出が発生しています。3年前は、本業でしっかり現金を稼げていたことを踏まえると近年、急速に現金流出が加速していることがわかります。

メルカリ・営業キャッシュフロー

現金の流出は止まらず。昨年は年間約70億円も(図版/筆者作成)

保有する現金が増加している不思議

 営業キャッシュフローがマイナスで、現金流出が拡大している株式会社メルカリですが、このまま事業運営に必要な資金が枯渇してしまうのでしょうか。

 しかし、貸借対照表を見ると、「現金及び現金同等物」は増加しています。営業キャッシュフローが減少しているにも関わらず、会社の所有するキャッシュが増加する理由は、「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」どちらかの増加によるものと考えられます。

メルカリ・現金及び現金同等物の推移

会社の所有するキャッシュは増加している(図版/筆者作成)

 キャッシュフロー計算書を見ると、投資キャッシュフローもマイナスであることがわかります。つまり、財務キャッシュフロー(主に銀行などからの借り入れ)の増加によって、現金を確保しているのです。

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