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東大合格者数No.1、開成高校の「非合理的な伝統」の本質

学び

 仕事やプロジェクト運営など、何かと合理性を求められる昨今。とりわけ働き方改革が進むなかで、無駄な時間を削った効率的な労働は、何よりも必要とされるものでしょう。

東京大学

※画像はイメージです(以下同じ)

 しかし、東京大学の合格者ランキングで38年(1982-2019年)もトップを走り続ける開成高校では、ある非合理的な伝統によって、合理性の本質が教えられているという。自身も開成OBで株式会社キャストダイス代表取締役の小林尚氏の著書『開成流ロジカル勉強法』から紹介する。

自由な校風で、合理的な開成高校

 開成に関する情報をメディアで探してみると、「東大合格~名」とか「校風が自由である」といった情報が溢れています。これらも間違っているわけではないのですが、開成の根底に流れているのは「合理性」という考え方だと言えるでしょう。

 私が通っていた当時、開成は確かに進学校であり校風が自由でしたが、内実はかなりヘンテコなところがありました。たとえば学校の授業は超合理的で高校2年生までに数学はすべての範囲を終わらせる。しかも文系の範囲(数学ⅠA・ⅡBと呼びます)に至っては高校1年生に終えてしまう。確かに先取り学習をして、後から復習した方が合理的ですから、理解はできます。

 同様に、ホームルームは週に1回数十分だけ、宿題がほぼない、強制的に受験させられる外部模試がない、学校は15時前に終わる(後は部活でも塾でも好きに過ごせる)といった特徴があり、このような進学校ならではの合理的な制度には枚挙に暇がありません。

謎のイベントや非合理的な伝統・制度も

運動会 高校

 その一方で、普通の人であれば首を傾げるような謎のイベントが多数あります。たとえば年に1度行われる運動会ではなんの得にもならない激しい競技に向けて、それこそ毎年けが人を出しながらも全校が全力で取り組みます。高校3年生になると団長をはじめさまざまな役職に就いて、下級生の指導に当たります。

 私は「エール」を担当するリーダーでした。これがまた不思議な話で、「エール」とはいわゆる応援歌なのですが、開成にある8つの組それぞれがオリジナルの伝統的な応援歌を有しており、さらに毎年オリジナルの「エール」を作詞・作曲するのです。これだけ聞けば「なんという無駄な行為だ!」と思われるでしょう。

 しかし面白いのは、こういった伝統・制度は教員や先輩から強制的にやらされているのではなく、毎年生徒が自分たちで検討・協議して実施していることです。そのため、運動会のルールや規則は毎年のように変更され、けがの防止や当日のスムーズな運営のための工夫が凝らされています。

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