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新型「Surface Duo」は貴族のスマホか…お値段と使い心地は?

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得意分野はあれど、難しい使い勝手…

 しかし、スマホ利用の実際を考えてみてほしい。幅広の5.6型というのは、片手でホールドしつつ操作するのは厳しいサイズだ。

 だから例えば、電車の吊り革を掴んで通勤するビジネスパーソンはこの端末を使えず、脱毛サロンの広告をぼーっと眺めることになる。構造上カバーを装着できないほか、「どの向きに落とした場合にもガラスが割れる」というのもなかなか絶望的である。

 タブレットとして使う場合には、繰り返し述べている通り、中央部のヒンジが気になるだろう。また、デスクの上で角度をつけてノートPCのように使おうとすると、食事中のネコみたいな姿勢になる(サイズの近い新書本か何かで試してみてほしい)。ここでも2画面の良さは活かせていない。

 いっぽう得意分野もあって、これを「電子書籍端末」と考えた場合には100点満点である。薄いし軽いし、マンガの見開きコマなども完全に再現できる。寝転がって読むのにもちょうどいいはずだ。

お値段を予測。10万円以上は必至か?

 2020年の発売が予定されている「Surface Neo/Duo」だが、気になるのが価格である。MicrosoftはSurfaceシリーズに強気の価格設定をしているほか、機械的に複雑で製造コストも高そうだ。新設計のOSまで投入する意気込みを考えると、ノートPCタイプの「Surface Neo」は10万円台後半か。スマホのSurface Duoも、iPhoneの上位機種に相当する10万円台中ごろをつけそうである(予測は10月9日時点)。

 そうなると、誰がこのMicrosoftの新作を買うのか。ゲームに特化した設計ではないので、10代が手に取ることは少ないだろう。メカメカしい「変身」機構に一目惚れしたマニアを除けば、実用目的で手にするのは、経済的に余裕のあるエグゼクティブ層が中心になりそうだ。

 つまるところ「Surface Duo」は電子書籍やスマホゲームといった用途に特化した「貴族のおスマホ」なのではないだろうか。本来、高性能スマホを必要としている若者ビジネスマンの懐事情を考えると、もうちょっと手ごろな価格になってほしいところだが、どうなるか……。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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