台湾発、同性カップルの妊活映画。主演女優が見た日本のLGBT事情
同性婚が合法化した台湾から見た、日本
――この5月に台湾で同性婚の法制化が実現しました。これはアジア初のことです。クーさんからは、日本は同性愛に関してどんな国に映りますか? 正直、まだ寛容ではない部分が大きいかと……。
クー:日本の友人を通じて、話を聞いたり、見たりしている印象では、確かに日本はまだそこまで寛容ではないと思うところがあります。でも今回、来日してみて、台湾人として、日本の社会をうらやましいと感じることもありました。
(性別違和を持つ)FTM(Female to Male)やMTF(Male to Female)といった方々がカミングアウトして、社会へ出て行っていますし、小学校で教材として見せていると聞きました。
それから「東京レインボープライド」(日本最大のLGBTイベント)に参加させていただいたのですが、デイリーニュースに、彼女・彼らたちのことを詳しく取材した記事が載っていて、とても感動しました。
自分らしく生きるために影響を受けた人
――クーさんが自分らしく生きるために、影響を受けた人はいますか?
クー:2008年にドイツとの合作映画『曖昧(Ghoste)』に出演しました。その際、モニカ・トルート(Monika Treut)監督からとても強い影響を受けました。フェミニズムや平等といった問題についてのしっかりと見識を持っている方で、とても印象深い出会いになりました。
確かに、台湾では同性婚の特別法案が可決された。とはいえ、水面下でこれからどういったことが起きてくるのか、まだ分かりません。かなり保守的な層が多いのも事実です。なので、理解への道のりは、まだまだ遠いのかなとは思いますが、『バオバオ フツウの家族』からも、カップルの愛や家族の情といった普遍的な思いを受け取ってもらえたらと思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>
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