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みんな就活にモヤモヤ?「アウトロー採用説明会」に参加してみた

学び

「アウトロー」の中で、まさかの人物と遭遇

 その中になんだか見覚えのある顔を見つけました。よく話してみると、3年以上会っていなかった中高時代の同級生! まさかこんなところでと思い、いろいろ聞き出すと「自発的な理由できたわけでない」「もともと全く就活をしておらず、それを見かねた友人に勧められた」とのこと。意外な再会に驚かされました。

 とはいえ、事前説明会は地方でも開催され、この日だけでも100人弱が説明会に参加。さらに同年代の就活生が、参加者の多数を占めることを考えれば、知り合いが1人や2人参加していても、何ら不思議ではありません。就活アウトロー採用といえども、普通の人も参加するのだと痛感しました。

 また、参加者はそれぞれ就活に対する悩みを抱えており、既存の就活システムに疑問を持っているようです。話を聞いた大学生は「就職について同じ悩みを持った人たちと話し合えて、心が軽くなったように感じた」と話してくれました。

 イベント後にも、参加者同士の交流が続くことも多いそうで、グループワークで話した者同士が談笑している場面も見られ、既存の価値観に疑問を持てる人たちによる新たなコミュニティとしての可能性も感じました。

「就活アウトロー採用は弱者支援ではない」

納富

かつては大手人材会社に身を置き、幅広い分野で人材ビジネスを経験した納富さん(写真奥左)。時代にあった本質的な人材のアプローチを追求するためにキャリア解放区の代表に就任したという

 代表の納富さんが説明会で強調したのが「この企画は弱者支援ではない」ということです。

「就活アウトロー採用の参加者はレールから外れた人だが、それは弱者ではなく、むしろ既存の就活システムを懐疑的に見ることのできる真っ当な人ではないか。

 僕たちは弱者支援をしたくてこのサービスを作ったわけではない。新しい時代を作るのは常に外側の人たちだ。日本社会は、レールから外れた人を弱者扱いして、手取り足取り教えようとするが、僕たちは違う」

 そして、「内定が出なくて、ここに来ると楽に内定が取れる……なんてことは全くない。むしろ普通の就活よりも難度が高い部分もある」と、参加者に釘を差してきます。

内定を手にできるのは「全体の2割弱」

アウトロー

説明は1時間ほど。多くの参加者は納富さんの話を真剣に聞き入った。熱心にメモを取る人もチラホラ

 また、納富さんはこの企画で内定を手にすることができるのは「全体の2割弱」という現実や、就活アウトロー採用自体、単なる慈善事業ではなく、参加企業から報酬をもらっているという収益構造などを明確に提示しました。

「就活アウトロー採用」という名称こそ、警戒心を抱かせるかもしれませんが、きれい事ばかりではなく、イベントの現状と実態もしっかり伝える姿勢に、私も思わず共感してしました。

 就活アウトロー採用はこの日の説明会の参加に始まり、1泊2日の合宿、ワークショップ、企業とのマッチングの全てに参加してプログラム修了となります。これからどのような体験を通じて、参加者(筆者含む)は内定へと辿り着くのでしょうか。この連載では、引き続きこの企画の肝となる合宿を体験する予定です。

⇒次回、<東大、早慶、ICU…高学歴学生も多い、異色の「就活合宿」ルポ>に続く。

特集・就活アウトロー採用2019

<取材・文・撮影/茂木響平>

ライター・イベンター。大学のお水飲み比べサークル会長。現在、上智大学4年生。面白そうな場所に顔を出していたら、なりゆきでライターに。興味分野はネット・大学・歴史・サブカルチャーなど。Twitter:@mogilongsleeper

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