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無印良品のホテル「MUJI HOTEL」が日本初オープン、設計者に聞く狙い

20代や近隣で働く人も気軽に利用できるホテルに

 客室は全79室9タイプ。最もコンパクトな客室タイプは15平米で、決して広い部屋ばかりではないが、実際に客室を見てみると、収納などスペースが有効に活用されており、使い勝手の良さそうな落ち着いた部屋の印象だ。

無印良品

最もコンパクトな14~15平米のタイプA。収納スペースなどを有効に活用している

「図面など実際の寸法で見ると狭いんですが、天井高やガラスのカーテンウォールといったオフィスビルの特徴をうまく利用し、開放感がある特徴的な部屋がつくれたと思っています」とは、UDSで企画開発業務を担当する黒田哲二氏。

 高級でインバウンド客中心のイメージもある銀座界隈のホテルだが、「MUJIさんの適正なものを適正な価格で売るという考え方に、僕らも共感しています。水回りなど諸条件があるなかで効率的に部屋割りをし、一人あたりの単価を下げていくかたちで企画をしており、あくまでMUJIのコンセプトや価値観に共感してくれる多くの方に体験してもらいたい」

「1泊2万9900円で3人まで宿泊可能な部屋(タイプG)もあります。一人1万円で銀座の中心に泊まれるので、20代など若い方でも手の届きやすい価格です(※3人利用時は宿泊料金5000円加算)。『Salon』と呼んでいるバーは深夜26時にまで営業していますので、近隣で働く方など宿泊しない方にも気軽に利用してもらえれば」と語った。

バー

「Salon」と呼ばれるバー。あえて鋸の手引きの跡を残した樹齢400年の楠を利用した10メートルのカウンターでコーヒーやお酒を提供する

海外での知名度は非常に高まった印象

 また、朝食サービスや「MUJI Diner」など良品計画の食領域への注力ぶりも取り沙汰されているが、和食レストランではシェフが実際に地方に足を運び、地元の生産者の声を聞き、地方の郷土料理のメニューを開発しているという。

「“Found MUJI”の考え方に基づく、今回のプロジェクトらしいところです。最初の3か月は大分県をテーマで、次の3か月は山形という形でシーズンごとに定期的にメニューの入れ替えを行なっていきます」(黒田氏)

 質疑応答で今後のホテルの展開予定を問われた良品計画の松崎氏は「ホテルというのはオペレーションが極めて重要な要素で、良品計画がホテル事業を行なっているとは考えておりません。あくまで我々の考え方を理解し、共鳴して一緒にホテルをつくり上げていただける相手先様があってできること」と強調。

無印良品

一番室数の多いタイプC。奥の小上がり部分にベッドスペースを配置し奥に伸びる空間の見せ方をし、客室全体に広がりを感じさせている

 あくまでもホテルの数や無闇な事業の多角化を目指しているわけではないといった考えを示していた。UDSも、今後の「MUJI HOTEL」の展開については明言できないようだが、良品計画との一連のプロジェクトに手応えを感じているようで、「海外からの問い合わせが増えている」(黒田氏)という。

「深セン・北京を手がけた関係もあり、海外での知名度は非常に高まった印象です。これから人口減少していく中で、日本だけで事業展開するリスクは少なからずあると思いますので、今後、どう海外に展開していくかを考える非常に良いきっかけとなっている」

 無印良品と、MUJI Diner、MUJI HOTELが三位一体となった、この無印の新たな聖地。入館客数は有楽町店比120%の年230万人を目標としている。

<取材・文・撮影/伊藤綾>

ライターです。日刊SPA!などで執筆

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