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ルノアール、唯一無二の「カフェ文化」を生み出す経営戦略

暮らし

「1億円が簡単に~」みたいな話が聞こえる

――確かに意識的に使うのとそうでないのとでは違いがありそうですね。

山内:もう1つは自分のキャパシティを広げられる場であるということ。ルノアールには本当に多くの人が来ている。普段見ないような怪しい人間もいたりするわけです。ちょっと耳を傾けてみると「1億円が簡単に~」みたいな話が聞こえてくることもあります。

 行いの良し悪しは別として、そういう現場って街中ではもちろんのこと、おそらくスターバックスやドトールでも見ることはありません。ルノアールって器が大きいからこそ、非常に濃度の高い社会の縮図という一面があるのだと思います。

 普段絶対に関わらないような人たちを見ることで、自分自身のものの見方や、街に対する感じ方、いろいろな面で視野が広がると思いますよ。

迷惑をかけない範囲で自由な使い方を

ルノアール

「多様な人がいるルノアールは頭の中をフラットにしてくれる」と山内さん

――いろんな街のルノアールに行ってみたくなりました!

山内:小説やエッセイの題材になるほど独特の雰囲気があるのは事実ですが、ルノアールはあくまでもただの喫茶店。こういった話を聞いて、怖いもの見たさで遊び半分にお店に行くことはおすすめしません。例えばその街の雰囲気が知りたいなど、しっかりとした目的を持つことが大事でしょう。

 ただ、ルノアールは本当に懐が深い。まじめにビジネスで使っている人もいれば、示談している人もいるし、別れ話をする人もいる(笑)。若いビジネスパーソンは、おのおの他のお客さんやお店の人に迷惑をかけない範囲で自由な使い方をして、見聞を広めてみるといいのではないでしょうか。

<取材・文/小林たかし 撮影/市村円香>

山内真太郎
ルノアールを愛する会」会長。多い時は1日3回喫茶室ルノアールに抱かれに行く。著書『喫茶室ルノアール“本”店vol.1』はKindle「茶道」「サブカル」カテゴリー1位獲得。広告クリエイター&大学講師でもある。

フリーランスのライター、主にweb媒体を中心に様々な分野で執筆を手掛ける。守備範囲は広いがとりわけ、変なもの、ことに関する興味が強い。最近の目標はヘビトンボを食べてみること。

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