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ルノアール、唯一無二の「カフェ文化」を生み出す経営戦略

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若手ビジネスマンはルノアールのIR資料を見よ!

ルノアール

――ほかに何かこれは!という使い方はあるんでしょうか?

山内:いろいろありますね。店舗を利用するわけではありませんが、ルノアールを運営している「株式会社 銀座ルノアール」のIR資料に目を通しておくのはおすすめです。

――IR資料……またなぜ?

山内:ルノアールって、例えば大塚店ではなぜか本格的な釜めしが出てきたり、店舗ごとに新メニューの開発を行っていたりと、それぞれの店舗のやり方に、かなり寛容なところがあるんです。でも、実は企業経営という観点でみると、かなり戦略的に動いてたりします。

見かけに寄らない「ルノアール」攻めの経営

――と、言うと?

山内:一般的にルノアールは「喫茶室ルノアール」のイメージが強いかもしれませんが、カジュアル層向けの「Cafeルノアール」や女性向けの「瑠之亜珈琲」なども運営しています。

 2012年には大規模な駐車場を有した郊外型の「ミヤマ珈琲」を打ち出し、コメダ珈琲の牙城を狙っている。だてに上場しているわけではありません。2013年の頭にキーコーヒーの傘下に入ったルノアールですが、これもおそらく今後の展開を見越してのことでしょう。

――見かけに寄らず、攻めた経営をしているんですね!

山内:世の中の流れへの対応、カフェ文化の促進という点でもかなり動きが速い。最近ではインバウンド向けに翻訳機の導入も始めていますし、分煙にもいち早く取り組んでいます。

 店舗によっては個人用のついたてがあるブースを設けている場所もあり、こもって仕事がしたいというニーズにも応えようとしています。ルノアール独自の強みは残しつつも、こういった取り組みにしっかりとコストをかけてやっているんです。
 

“大人の階段”としてのルノアール

ルノアール

取材は「ルノアール四谷店」でおこないました

山内:一見、緩いように見えて、ルノアールはかなりしたたか。ビジネス目線でルノアールのIR資料を見ていくと、そうした戦略を学べて面白いですよ。

 あと、もう少し抽象的な話になりますが、ルノアールは若い人にとって“大人の階段”みたいな役割を果たしているんではないかと思っています。

――大人の階段ですか!

山内:1つはビジネスの根っこのような部分が学べるということ。私は常々大人のたしなみとして、お店の回転率を下げてはいけないと思っているんです。ルノアールに限らず、喫茶店って長居をしてしまうものだと思うんです。

 でも、行列ができるような人気のカフェで長居をすると「並んでるのに、何時間居座るんだ」と思われてしまうこともあるわけで。仮にお店的には問題ないとしても、大人としてそれは違う。

 ルノアールはそういった意味でお店視点、自分視点で使い方を学ぶことができると思うんです。例えば、何時間くらい経ったらまた注文しようとか、お茶の入れるタイミングはいつぐらいなんだろうとか、他のお客さんはどのように過ごしているんだろうか、いつ従業員さんが入れ替わるのか、など学べる部分はかなり多い。

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