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パイオニア、赤字のカーナビメーカーを大逆転させる思考法

ビジネス

問題の根本はカーナビより使える「スマホナビ」

 パイオニアはカーナビに絶対的な自信を持っていました。すでにスマホやタブレットを使ったスマホナビもありましたが、その地図は完全ではありません。

 オーディオ業界を一変させた勢いを持つアップル社ですら、2012年の地図データ更新で誤った情報を配信してしまいました。パチンコガンダム駅など存在しない駅名まで登場しスマホナビの利用者は混乱します。ルート案内も問題だらけでした。高架橋の高速道路からアンダーパスしている一般車道に曲がれと、とんでもない道案内をすることもありました。

 さらに、一部のスマホナビは、山中やトンネルなどでは、圏外になってしまい表示できない場所もあります。スマホナビはあてにならない。これなら、カーナビは安泰だと思ったことでしょう。

 ところが、ここからスマホナビの逆転が始まります。世界中に赤恥を晒したアップル社は名誉回復に地図の強化を始めます。ライバルのグーグル社もアップルの地図が使えないうちにとグーグルマップの強化に乗り出します。ヤフー社もナビアプリに参入するという戦いが始まりました。世界的お金持ち企業が本気を出したため、スマホナビは急速に進化を始めます。

 こうした競争でスマホナビはカーナビより便利になり、道路情報はリアルタイムで更新されます。自動車を購入してもスマホナビで済ませてしまおうと考える消費者が増えれば、カーナビ業界が縮小するわけです。では、パイオニアがスマホナビに勝つにはどうすればいいのでしょうか。

ロジカルシンキングだと…「カーナビ機能をアップ」

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パイオニアの本社が入居する「文京グリーンコート」 photo by Kamemaru2000 CC BY 3.0

 パイオニアは、昨年12月に香港の投資ファンドの完全子会社となることを発表。今年1月に臨時株主総会で承認され、経営再建が進められています。

 ただ、みなさんに考えていただきたいのが、もしあなたがパイオニアの経営者だったら「どうやって経営再建に臨みますか?」ということです。

 たとえば論理的な考え方(ロジカルシンキング)でカーナビを復活させようとした場合、

 ・カーナビの更新頻度をもっと上げる
 ・カーナビにドライブレコーダーを組み合わせて、事故が起きた場所を地図で確認できるようにする

 といったありきたりな発想しか浮かびません。

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