いつまでも仕事が終わらない人が陥る「先延ばしグセ」の治し方
先延ばしグセはキャリアや会社にもマイナス
アイルランドのダブリン市立大学の研究では、「誰かの先延ばしが原因で発生するメンバー同士の衝突が、企業を脅かす大きなリスクになる」ことがわかっています。
ほとんどの仕事は、自分ひとりだけで動いていることはありません。自分の仕事は、必ず他の誰かの仕事に影響を与えています。自分が「つい」軽い気持ちで先延ばししたことが、ほかの人の仕事を遅らせている。
そのことがチームの雰囲気を悪くする。それが組織や、会社全体のダメージにつながってしまう。1人の先延ばしが組織全体にマイナス効果を及ぼすリスクがあるということです。
同じくアイルランドのある大学の研究に「マネージャーは、先延ばし常習者に重要で時間に敏感な仕事を割り当てる可能性は低い」という考察もあります。仕事における先延ばしの常習は、人間的な信用をなくすことにつながる確率がとても高くなり、その人のキャリアにもマイナス影響が出てくるでしょう。
先延ばしグセは人生のあらゆる面でマイナス
チームで課題に取り組むとき、誰かひとりが、「これは後でもいいよね?」と言い出して、ほかの人も何となく同調して「そうだね」「そうしようか」となった経験ありませんか。
「腐ったミカンの方程式(箱のなかに腐ったミカンがひとつあると、ほかのミカンも腐ってしまうコト)」ではありませんが、先延ばしグセには「周囲にも伝染する」という厄介な特徴もあるのです。
些細な先延ばしであっても、それが日常化・常習化してしまうと、本人だけでなく、周囲の人たちまで仕事が遅れたり、業務が滞ったりするなど組織全体の生産性にも大きなマイナス影響が出てきます。
カナダのカルガリー大学による調査では、職場における先延ばし常習者の63%は、給料が下がる、正社員から契約社員といった不本意な雇用形態の変更、さらには失業、失職といった可能性が高くなるなど、キャリアにおける成功の程度が半分以下に下がるという結果も報告されています。
先延ばしばかりしている人は仕事ができないどころか、「仕事を失う」リスクやキャリアの致命傷にもなりかねません。先延ばしグセは、仕事だけでなく人間関係から健康状態まで、人生のあらゆる面でマイナス影響を及ぼす全人類が抱える“悪習慣”の最たるものです。
「あとで」のクセから脱却して、「すぐに」を習慣化するという意識と行動の切り替えが、「仕事がデキる人」への近道と言えるでしょう。
<TEXT/メンタリストDaiGo>