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社員旅行のニーズが約7割増│近ツー調査から見える実施の理由と企業戦略

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「社員旅行」と聞いて、どんな光景を思い浮かべるだろうか。宴会場での余興、上司への気遣い、強制参加。そんな“昭和型”のイメージを持つ人も少なくないはずだ。しかし今、その姿が大きく変わり始めている。

近畿日本ツーリストが発表したデータによると、社員旅行市場はコロナ禍から回復基調にある一方、その中身は大きく変化。「量より質」を重視する“令和型社員旅行”へのシフトが鮮明になっているという。

国内社員旅行はコロナ前の7割まで回復 一方で単価は約1.5倍に

近畿日本ツーリストが2018年から2025年までの社員旅行取扱データを分析したところ、国内社員旅行の売上は2018年比で70.5%まで回復。海外旅行は56.7%にとどまり、“国内回帰”の傾向が強まっている。

興味深いのが社員旅行に際して、参加者1人あたりの旅行代金(単価)で、国内旅行は2018年比で152.3%、海外旅行は192.0%まで上昇している点だ。

この結果は、単なる物価高や仕入れ原価の高騰による影響にとどまらず、企業側が社員旅行に対し「より高い付加価値」や「確かな成果」を求めるフェーズへ移行していることを示唆しており、同社に寄せられる相談内容からもその傾向がみられるという。

“令和型”の社員旅行が企業にもたらす恩恵

近畿日本ツーリストは、社員旅行への相談増加の背景として3つの要因を挙げている。

1つ目は、リモートワークや拠点分散による“リアル接点不足”。オンライン会議では生まれにくい偶発的な会話や、部署を超えた交流の機会として、オフラインで集まる価値が見直されている。

2つ目は、人材定着施策としての再評価だ。近年は福利厚生競争が激化しており、帝国データバンクの調査でも、企業が今後導入したい福利厚生の上位に社員旅行が入っているという。

特に若手層は「給与だけ」では動きづらくなっており、“会社の雰囲気”や“人間関係”を重視する傾向も強い。社員旅行は、その空気感を体感できる場として機能している。

そして3つ目が、“目的型コンテンツ”への進化だ。前時代的な宴会中心旅程から、体験型コンテンツや研修・合宿を組み合わせたハイブリッドな“目的型”へと進化を遂げ、実施する企業にとって納得感が高まっている。

実際の相談内容をもとに近畿日本ツーリストがまとめた人気スタイルにおいて、特に象徴的なのが、「ミニマム団体型」「ソロ参加型」「フレックス日程型」といった“自由度”を高めた設計だ。

働き方や価値観が多様・共存する令和ならではの要素を組み込むことによって、前時代の強制されたスタイルから“ゆるやかな接続”を作る場へ変化している。

社員旅行は“会社のカルチャー”を映す時代に

高度経済成長期には「組織統率」、バブル期には「豪華さ」、そして令和では「心理的負担の少なさと納得感」。社員旅行はその時代の企業文化を色濃く反映する。

ワークライフバランスを尊重してくれるのか。一体感や熱量を重視するのか。成長や挑戦を強く求めるのか。単なる会社行事や福利厚生ではなく、“企業カルチャーの可視化”にもつながる。

令和の社員旅行は、その問いに対する企業側の回答なのかもしれない。

今、就職や転職を考えている立場にあるのであれば、判断材料として希望している企業の社員旅行の概要を確認してみてはどうだろうか。


文:土田洋祐
画像:PIXTA

[参考]
近畿日本ツーリスト:「社員旅行」最新動向発表 国内売上はコロナ禍前の7割まで回復、単価は約1.5倍に上昇 ~令和版・社員旅行の特徴も紹介~


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