働きやすい職場の条件とは?会社でクリスマスプレゼントを循環させる社長の狙い
現代社会において、社員一人ひとりが安心して働ける職場環境の構築は、企業にとって重要な課題です。オリジナルブランド「マナラ」「アールオム」「アクナル」を開発・販売する化粧品会社ランクアップは、社員の8割が女性、そのうち半数が育児をしながら働くママ社員であることから、育児サポートの面で独自の福利厚生を導入するなど、多数の取り組みを行っています。
2024年12月23日には、社員の子どもたちへプレゼントを贈る「継承クリスマス」イベントが開催されました。この取り組みの目的や働きやすい職場環境づくりについて、代表取締役の岩崎裕美子さんに聞きました。
出発点はブラック企業からの脱却
かつて自身がブラック企業で経験した厳しい労働環境をきっかけに、「女性が結婚や出産を経ても一生活躍できる会社を作りたい」という思いで起業した岩崎さん。
「以前の職場では、夜遅くまで働き続ける日々が続き、肌も心もボロボロでした。その経験から、働き方を見直し、プライベートと仕事を両立できる環境を提供したいと強く思ったんです」(岩崎さん)
その結果、現在では社員の約80%が女性で、そのうち約半数が子育て中のママ社員という構成になっています。
クリスマスプレゼント循環のアイデア
2024年12月23日には、昨年に続き2回目となる「継承クリスマス」イベントが開催されました。この取り組みは、社員の子どもたちが大切にしてきたおもちゃを次の子どもたちへ譲るという形で行われるイベント。
特に今年は、物価高の影響で節約志向が高まる中、こうしたイベントが家計にも優しいと社員からも評価されています。特筆すべきは、このプレゼントが社員間で循環する形で提供されている点です。
「子どもが成長すると、使わなくなるおもちゃが出てきますよね。そのおもちゃを次の世代に渡すことで、SDGsの観点でも意義がある取り組みだと思っています」(岩崎さん)
さらに、この取り組みは社員間の交流を深め、職場全体の温かい雰囲気を作る一助ともなっています。イベントに参加した社員からは、「子どもが去年参加したのを覚えていて、今回もとても楽しみにしていました」「子ども同士も仲良くなれるのもいいですね」といった声が寄せられました。
働きやすい職場の条件とは?
同社が目指すのは、ライフステージに合わせて柔軟に働ける環境を提供することだといいます。
「働きやすい職場とは、自分の役割や出番があると感じられる場所です。その上で、子育てや介護といったライフステージの変化にも対応できる仕組みが重要だと考えています」(岩崎さん)
同社は、子育てをしながら働くママ・パパを支える独自の福利厚生が充実していることでも知られていますが、それよりも仕事のやりがいが第一だと岩崎さんは強調します。
「福利厚生が充実していても、やりがいがなければ意味がありません。社員一人ひとりが自分の役割を全うできる環境を整えることが、働きやすさにつながると思います」(岩崎さん)
働きやすい職場環境を実現するのは、優秀な社員に長く働いてほしいためだという岩崎さん。時短勤務の制度や福利厚生を充実させる一方で、時短勤務でもフルタイムと同等に厳しい評価基準を維持しているといいます。
平等な制度と公平な仕組みを確立させることは、子育て中の社員に限らず、子どものいない社員や独身の社員にとっても働きやすい職場づくりにつながるといえそうです。
また、クリスマスプレゼントを循環させるというユニークな取り組みは、単なる福利厚生に留まらず、職場全体の文化を育むアイデアのひとつでもあります。
このように、社員が一生働き続けられる職場環境づくりを目指すことは、これからの時代においてますます重要となるといえるのではないでしょうか。