50年以上も同じモデルが飛び続けるトンデモ飛行機ボーイング737の奇跡
民間航空史において、輝かしい名を残すボーイング737は驚異的な長寿命をもたらした革新的な設計により、他のどの乗り物とも比較できない存在となりました。 1967年の初飛行以来56年が経過した現在も製造が続けられ、顧客エアラインに引き渡され続けています。この航空機の成功物語をひもといていきましょう。
歴代737の系譜:世代を超えた進化
ボーイング737は、航空史上最も成功した旅客機の一つであり、トンデモない長寿命は航空産業における奇跡と言えるでしょう。この設計は、50年以上もの長期間をほとんど変わらぬデザインで飛び続けています。
1967年における他の交通機関を思い出してみましょう。まず自動車の分野では、幻の名車と言われるトヨタ2000GTやマツダコスモ ロータリースポーツなどが誕生しました。鉄道界では国鉄時代の581系特急型電車寝台が運用開始されました。このように、他の交通機関では過去の遺物と言える製品が生まれた頃です。どれだけ737の息が長いかがわかると思います。
ボーイングは最初のジェット旅客機を国際線でメインに使える4発エンジンの707シリーズの名前で1957年に初飛行のうえ市場に登場させ、一定の成功を収めました。次に国内線など近から中距離で使用する3発エンジンのボーイング727を1963年に初飛行させて投入しました。当時の旅客の動向は、国際線の利用はまだまだ一部の人々の特権のような状況の中、国内線をもっと拡充しようという流れでした。
市場では搭乗者数は少なくても短距離に高頻度で飛ぶことのできる国内線の地方路線に活躍する機体が求められていました。
ボーイング737の開発
ボーイング737の開発の経緯は後にボーイングの傘下に入るダグラス航空機がDC-9という後部に双発エンジンを装着したリアマウント機が1965年に初飛行を行い、販売で成功を収めており、ボーイングが追随したのも理由の一つです。
小型機ゆえに比較的小さな空港での運用を想定し、タラップが用意されていなくても自蔵式ステア(タラップ)で乗降可能にするという工夫がなされていました。短距離の離着陸回数が増え、主輪のブレーキ使用回数が多くなることを想定し、過熱による性能の低下を防ぐ為に車輪周りの温度を下げるのに、あえて収納カバーを設けず、外気に触れることが出来るように工夫されていたのです。
このボーイング737モデルは100席強から200席の世界の旅客機市場の半数以上を占めるサイズの機体で構成される100~900型のシリーズに加え、最新のMax型では170席から230席クラスの7~10型と合計で13ものモデルが生まれました。
ボーイングが発表する製造納入の機数は通算で1.8万機の受注を受け、1.1万機が引き渡されています。1970年に創業したエアバスの同じく単通路機のライバル機になるA320は1987年に初飛行しシリーズ受注数を伸ばしていますが、歴史の面ではボーイング737に一日の長があります。