商談の別れ際に「失礼いたします」と言う人が知らないセールスのコツ
いつの時代もセールスマンにとって、努力と成績が結びつかないことは悩みのひとつです。
こうしたセールスマンの悩みを解決してきたのが、多業種にわたる法人営業で最高月間売上3億円、200人中1位の売上実績などのトップセールスを16年にわたってキープしてきたセミナー講師の大岩俊之氏(@kadenbook)。セミナーを通して1万人以上に指導を行ってきました。
そんな大岩氏の新刊が『売れる言いかえ大全』(フォレスト出版)。ちょっとした言葉の言いかえで営業成績を上げる術が盛り込まれています。今回、大岩氏が教えるのは、あいさつで訪問先に好印象を残す言いかえです(以下、同書を一部編集、抜粋)。
自分の気持ちを言葉に
多くのセールスパーソンの方が、お客様先に出かけて商談をし、別れ際のあいさつは「失礼いたします」と言っていると思います。もちろん、それで正しいですし、私自身もセールスパーソンになった最初の頃は、当たり前のように使っていました。ですが、営業経験が5年を超えたあたりから、あえて自分の気持ちを伝えるように言葉づかいを改めたのです。
たとえば、なかなかアポイントが取れないお客様に対しては「本日はお会いできてうれしかったです」と伝える。また、私を指名して声をかけてくださったお客様には「お声がけいただき、本当にうれしかったです」、新規の受注をくださったお客様には「上司の○○が喜んでおります」と伝えていました。
どうしてもセールスパーソンは「お世話になっております」「ありがとうございます」など、形式的な言葉を使うことが多くなってしまいます。だからこそ、あえて自分の気持ちを言葉として伝えることに価値があるのです。
正直、このように感情を素直に伝えることは、私としては気恥ずかしかったのですが、効果は抜群でした。これを繰り返していくと、気持ちを伝えないほかのセールスパーソンの人たちより、圧倒的に印象に残るようです。実際に、多くのお客様が、すぐに私の名前を覚えてくださいました。
言葉づかいが新たな仕事を生み出す
お客様に覚えていただくことにはたくさんのメリットがありました。たとえば、1つの案件がうまくいかなかったとしても、次の案件が発生したときにお客様のほうから声をかけていただけるようになったり、自分の手違いで迷惑をかけても大目に見てもらえたりしました。もちろん、こうした言葉づかいがすべてではないでしょうが、プラスに作用することは間違いないでしょう。
ほかにも、お客様とお会いしたときに単に「お世話になっております」と言うのではなく、「○○さん、いつもお世話になっております」と、お客様のお名前を最初につける。自分の名前を呼ばれて、うれしくない人はいません。どんな場面でも名前で呼ぶことは、信頼関係の構築にはとても役立ちます。
また、「ありがとうございました」「お手数をおかけしました」と伝えるときも、お礼の元となることやお手数をおかけしたことの元があるはずです。ですから、「○○の件では、ありがとうございました(お手数をおかけしました)」と伝えましょう。そうすることで、お客様に「この人はきちんと覚えている、しっかりしている」と好印象を与えることができます。
このようにちょっとした言葉づかいを変えるだけで、お客様の好印象や信頼感を与えることができます。そしてそれが積み立てられることで仕事につながっていきます。がんばっているけれどなかなか売れないと悩んでいるセールスパーソンの方は、ぜひ一度、ご自身の言葉のつかい方を点検し、改良してみることをおすすめします。
<TEXT/大岩俊之 戦略営業コンサルタント>