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2021冬ボーナスは平均約38万円。実は社員にとって損なボーナス制の裏側

コラム

 コロナ禍で業績が悪化、一向に回復しない企業は今冬のボーナスも“厳冬回答”が多い。一方で、業績が落ち込んでも前年と同額、微減で歯を食いしばる企業も。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが11月10日に発表した調査では、1人あたり支給平均額は前年比0.1%減の38万254円となった(事業所規模5人以上、厚生労働省「毎月勤労統計」をもとに同社が予測)。

年収 お金

※画像はイメージです(以下、同じ)

 時代遅れな日本のボーナス制度に対して社会保険労務士の斉藤輝之氏が提言する(以下、斉藤氏寄稿)。

ボーナスのせいで給付金、手当金が減る

 現在、多くの企業が導入している夏冬のボーナスですが、実は従業員にとって損があります。

 まず雇用保険です。この保険は週20時間以上かつ31日以上働く見込みがある人が加入するよう義務づけられており、加入者である従業員は解雇された場合や自己都合退職の際に、いわゆる「失業手当」を受給できます。失業手当は会社に在籍した直近半年間の平均給与の5~8割が給付されるのですが、失業手当を計算する際に、ボーナスはカウントされません。

 つまり、収入に対するボーナスの割合が高い人は、もらえる失業保険の額が少なくなってしまうのです。

ケガで働けないときの手当も減少

斉藤輝之氏

斉藤輝之氏

 また、健康保険に関しても同様のことが言えます。健康保険には「傷病手当金」という制度があります。これは、病気やケガで働けない場合、条件を満たせば給与の約3分の2がもらえる手当金です。

 これを割り出す際には給与を区切りの良い幅で区分した標準報酬月額を用いますが、これにもボーナスは含まれません。ボーナスが多い人は年収に対して手当金が少なくなってしまうのです

 どちらの保険料も、ボーナスを含めた年収全体から徴収されているのに、いざ給付金、手当金を受け取る際には反映されません。

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