リモートワーク不調の原因は「疲れる座り方」に?専門家が教える、改善テクニック
文部科学省の疲労研究班が行った調査によると、日本人のおよそ6割が「慢性的な疲れを抱えながら暮らしている」という結果もある、まさに「疲労大国・日本」。昨年(2020年)、この疲労大国である日本に、さらなる疲れを発生させる要因が生まれてしまいました。
コロナ禍とリモートワークです。このうち、一気に広まったリモートワークについて、出社しているときには感じなかった、体の新たな不調を抱える人が急増しています。この記事を読んでいるあなたも、きっとその中のひとりなのでしょう。リモートワークによって生じた体の不調は、あなたがいまとっている姿勢と動作が大きく関係しています。
では、どんな姿勢と動作をとれば、不調を感じずに、快適なリモートワークが実現できるのでしょうか。話題の本『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)は、そんな不調を解決するヒントとなる一冊です。著者であり、人間の動作を観察・記録して、科学的に「人体構造に合った正しい姿勢と動作」を検証し、スポーツの現場に還元してきた、動作解析専門家の夏嶋隆氏。多くのトップアスリートを疲労から救うために、夏嶋氏が考案したテクニックが、わかりやすく説明されています。
今回は、夏嶋氏の著書より、リモートワークで活用できる、疲れない姿勢や動作をご紹介します。
そもそも「疲れる座り方」とは?
「疲れない座り方」を説明する前に、「疲れる座り方」の例を挙げてみましょう。
まず注意したいのは、肩のラインと腰のラインが平行になっていない座り方です。足を組んでいる人に多く、一方の肩が上がって肩と腰のラインがずれていると、背骨が湾曲して頭の重さを支え切れず、腰痛を発症する危険性が高まります。自分では楽な姿勢をとっているように思っていても、実はじわじわと筋肉にダメージを与えてしまっています。
椅子に浅く座ることの多い女性に多いのが、膝をくっつけて足首を離している「ハの字型」の座り方です。膝の角度が鋭角になり、足指の付け根を折って体を支えているため、つねにふくらはぎが緊張を強いられます。
最初のうちは背中を反らせて姿勢を良くしていても、足と腰が疲れやすい体勢のため、しだいに頭が前に出て猫背になっていきます。肩こりや首痛が起きやすく、長時間のデスクワークには絶対に向かない姿勢です。
1:疲れない基本の座り方
では、「疲れない座り方」とは具体的にどうのような座り方なのか。具体的には以下の2パターンがオススメです。
1つ目の座り方は骨格的に女性が向いています。背もたれまで深く座り、両膝と両足首をそれぞれくっつけます。足首をくっつけていれば、足は左右に振れていても大丈夫です。テレビに出演している女性アナウンサーたちは、この座り方をしていることが多いですよね。見た目も上品になります。
2つ目の座り方は男性向きです。背もたれまで深く座り、両膝と両足首をともに開き、足の裏全体を地面に置きます。両膝の角度は鈍角です。正直なところ、偉そうに見えますが「疲れない」という視点では最高の座り方です。
どちらの座り方も、顔の位置は固定し、上半身は定期的に背骨を揺らすようなイメージで動かすようにしましょう。体を支える支持筋の負担も減らすことができ、より疲れにくくなるでしょう。