子どもの飛び跳ね、落下音…「隣人トラブルの対処法」を専門家に聞く
上階からドンドン、ドタドタ音が響く。隣のテレビの音がうるさい。深夜の話し声が気になる。ステレオの音楽が大音量で聞こえてくる。早朝に洗濯機を回すなど、生活音はいったん気になりだすと、神経にさわります。
「ああ、もう我慢できない……」という気持ちはわかりますが、いきなり苦情を言いに行くのはやめましょう。「耐えられない」という気持ちのままで行くと、どうしても感情的なもの言いになってしまいます。来られたほうも、突然だと気分を害するに違いありません……。
今回は住宅関連の音・振動環境の対策や研究の第一人者である日本大学名誉教授・井上勝夫氏にもし「騒音の被害者」となった場合にするべき対処法を紹介してもらいます。
※本記事は『マンションの「音のトラブル」を解決する本』(あさ出版)から再編集し、抜粋しました。
苦情を言う前にワンクッション置く
マンションの場合は、空気中を伝わる「空気音」のほかに、体を振動として伝わる「固体音」があります。「固体音」は、上下階や隣戸ではなく、思わぬところから伝わってくることがあるので、「音を出しているのは上の階に違いない」などと最初から決めつけないことです。
そのためにも、苦情を言う前にワンクッション置くことを心がけましょう。最初は管理組合に申し出て、掲示板か全戸配布で「騒音に関する注意」をしてもらうのが良いのではないでしょうか。
特定の住戸を名指しするのではなく、一般論として「マンションではこれこれの音が響きますので、注意しましょう」とか、もう一歩踏み込んで「何曜日の何時くらいに、何階付近でこんな音がします。お互いに気をつけましょう」というような提示をし、注意喚起をうながします。
それでも解決しない場合は、管理人を通して管理組合から当事者に話してもらうのが良いと思います
最初は婉曲的な表現で尋ねる
もちろん人間関係ができていれば、直接、相手に話してもかまいません。ただし、最初はあくまで「もしかしたら、お宅かもしれませんが」「間違っていたらごめんなさいね」といった婉曲的な表現で聞いてみることが大事です。
「夕方から夜にかけて子どもが走るような音が聞こえますが、少し気になるので、状況はいかがですか?」とか「夜◯時ごろ、ドンドンという音が聞こえます。お風呂場からのようですが、いかがでしょうか?」といった聞き方をしてみましょう。
もし可能であれば、相手の人に自宅まで来てもらって、実際に出ている音を聞いてもらうのもいいと思います。なお管理組合に仲裁をお願いする場合は、正直に、正確に状況を説明しましょう。