かつや、マクドナルド…コロナでも収益アップした飲食店の秘密
「ダサカッコイイは褒め言葉です」
――株式会社?野家ホールディングス河村泰貴社長
「飲食店以外の方にも使える一冊」
――アークアンドサービスホールディングス株式会社臼井健一郎社長
?野家、かつやといった日本を代表する人気外食チェーンの代表が、こう言って推薦する一冊が『コロナ危機を生き残る飲食店の秘密~チェーン店デザイン日本一の設計士が教える「ダサカッコイイ」の法則』(扶桑社)だ。
著者である大西良典氏は、外食チェーン店のデザイン数、日本一を誇る「職人出身の建築デザイナー」である。人気外食チェーンがコロナ禍でも集客が途切れないのはなぜか? 今回、飲食店廃業数が過去最大になった3つの理由を紹介する(以下、同書より抜粋)。
飲食店廃業数が過去最大になった3つの理由
いきなりネガティブな話題をするのは本意ではありませんが、2020年に世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスの影響で多くの業界が経営の危機に瀕しています。中でも飲食店業界の惨状は深刻で、飲食店の廃業率は過去最高を更新しています。ついこの前まで繁盛していた店でも、息切れして閉店や倒産に追い込まれています。息切れしてしまう原因は大きく3つあります。
「第1の理由」は、収益が激減しているにもかかわらず、容赦なくのしかかってくる店舗の賃料や人件費、光熱費といった店の維持費の問題です。そもそも飲食店は仮に月1000万円の売り上げがあっても、そうした維持費を引くと純粋な利益は5~15%ほどで、利益率が低い業態です。
もし店が繁華街の路面店など好条件の立地にあれば、賃料も高額になります。アルバイトなどの人件費を縮小したとして、店舗にかかる固定費は簡単に減らせません。
「第2の理由」は、店舗を開業した際に投資した内装設備の減価償却費です。ゼロから立ち上げて開業した場合はもちろん、居抜きで入っていても、あれこれコストをかけてリニューアルした店舗ほど、減価償却費が跳ね上がるので、運転資金が焦げつく原因になります。「まさか、こんなことになるなんて、開店したときは想像もしなかった……」そういって頭を抱えている経営者も少なくないはずです。
こだわりに気づくお客さまはほんの一握り
私も設計士なので、店の内装にこだわりたいオーナーさんの気持ちは人一倍よくわかります。
「カウンターは本物の木じゃなくちゃダメだ!」
「このレンガ壁は、安っぽいレンガ風クロスなんかじゃダメだ!」
「このメニュー表のデザインは、もっとカッコよくないとダメだ!」
自分の店に思い入れが強い人ほど、そんなふうにこだわってしまうものです。ただ、そのこだわりに気づくお客さまはほんの一握りです。お客さまが店に滞在する限られた時間の大半は、食事や会話です。壁材をじっくりチェックしたり、メニューのデザインを何時間も眺めているようなお客さまはいません。
店のデザインに必要以上にコストをかけなくても、マーケティングやデザインの工夫次第で店のイメージを上げる方法はいくらでもあります。それによって、たとえば売り上げ1億円の店を2億円に倍増させたり、500人のリピーター客を1000人に倍増させることも可能なのです。