コロナでクビを切られた28歳会社員「3か月後が全く見えません」
新型コロナウイルス関連で解雇や雇い止めにあった人は、6月5日時点で2万933人(厚生労働省発表)。業績悪化による「会社都合の解雇」や、就職・転職者の内定取り消し、アルバイトや派遣の雇い止めが増えているのです。
飲食や旅行といった、最初に打撃を受けた企業だけでなく、今はもうIT業界でも解雇者が続々出てきている状況のようです。今回話を聞いた河野勇斗さん(仮名・28歳)は、ここ数年右肩上がりの業績だったIT企業でデザイナーとして働いていましたが、今年の4月付で解雇されてしまいました。
3年務めた会社でクビを切られ…
あまり外出自粛に関係がない、むしろ自粛により家でネットを使う人も増えている中、「IT業界は儲かっているのでは」という印象を持つ人も少なくないでしょう。しかし、IT会社でも売れ行きの芳しくないコスメ関係や、フィットネス、旅行、アパレルなどに関連する事業を展開していたり、そういった企業とBtoBビジネスをしていたりすると、苦戦を強いられています。
河野さんはクビになるまでの心境をこう語ります。
「新卒でWEBデザイナーとして働いて、3社目に入ったのが今の会社でした。ファッションテック事業としてアパレル関係の取引先を多く持っており、3月くらいからは社員の間でも『ウチの会社、けっこうヤバいかも』という噂は立っていました。
アパレルはとにかく新規顧客の売上が立ちづらい状況で、ファッションテックという最先端の業界では、新規会員の獲得がないというのは致命傷。会社からも特になんの報告もないまま、急に面談に呼び出されたかと思ったら、会議室には代表と人事の姿があって…『あ、これなんかおかしいな』と思いました」
人件費を20%カットせざるを得ない状況
その場で人事から「4月末付で退職してくれ」という宣告を受けた河野さん。クビになった基準を伝えられることもなく「人件費を20%カットせざるを得ない状況」とだけ言われたそうです。
このご時世、ITを全く使わないという業界はありません。そういう意味では、自社のサービスやプロダクトがIT系でも、取引先は全く畑違いということも多く、一口に「IT企業ならこれから先も伸びていくし、安心」というワケではないのです。