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ブラック企業は「辞めるのも命がけ」28歳が怒りの告白。着拒しても鳴る電話…

学び

「お前は何も生産していないんだから文句を言うな」

「その会社の勤務時間は、9時から18時となっています。しかしその規則が守られたことはなくて、終電ギリギリの23時45分まで働く毎日でした。

 派遣先での仕事は17時で終わりますが、本社に戻ってまた別の業務がはじまります。本社に戻る交通費も、残業代も出ません。自主的に戻ってきて働いているという扱いなんです」

 派遣先から自宅にそのまま帰ることはできなかったのかと尋ねると、「そこがあいつらの狡猾なところなんですよ!!」と、川崎さんの怒りが爆発。

「私のような新入社員は、ベテランの社員複数人と同じ現場に派遣になります。派遣先の仕事が終わったらベテランの社員に囲まれて強制的に本社に戻されて働かされます」

 ベテラン社員は50万円以上の給料をもらっているからまだ耐えられたとしても、若手社員は手取り13万円。休日出勤も当たり前で、休みはほぼなかったそうです。

「私が『家に帰してください』と頼んだら、恫喝されるんです。『お前は何も生産していない。先輩たちが稼いだ分を食いつぶしているんだから、文句を言うな。むしろ学ばせてもらってありがたいと思え』って」

 休日もなく、一日15時間近く働く生活のなかで川崎さんは心身に異常をきたしていきます。

上手く話せない、笑えない

苦悩するビジネスマン

「結局その会社は5か月で辞めました」

 辞める直前には、人と普通に話したり笑ったりということができなくなっていました。同僚でも、女性社員で「生理が予定通りに来なくなっている」など不調を訴えている人が多くいたそうです。

 川崎さんは意を決して、会社を辞めるというメールを送ります。もちろん直接は言えません。
「直接辞めると話したら何をされるかわかりません。恫喝だけでは済まなくて、監禁されて暴力を振るわれていたかもしれません……」と川崎さん。

 これで解放されるかと思いきや、それからも苦難の日々が続きます。

「メールを送った翌日から、上司からの不在着信が止まりませんでした。着信拒否をすると別の番号からかかってきて、その番号も着信拒否をすると非通知でかかってくる。

 そのうち、家まで直接押し掛けてくることもありました。
 深夜2時くらいに家のベルがなるようになりました。私の家の近くに住んでいる社員を訪問させているんです。居留守を使うと、ドアをバンバン叩かれるんです。それでも私は取り合いませんでした」

 辞めることは直接は言わずにメールで連絡。その後は一切接触を断つ。川崎さんはこのようにしてブラック企業を辞めることに成功しました。

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