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PFAS(ピーファス)とは?静岡市とAホールディングスが連携協定締結で環境問題解決を目指す

学び

最近になってよく聞かれるようになった「PFAS(ピーファス)」。有機フッ素化合物の総称で、自然界で分解しにくく、発がん性を含む可能性が指摘されていることもあり、国内各地の河川や地下水で高い濃度で検出されて問題になっています。

このPFASの汚染除去を目的として、静岡市と、天然水の販売や浄水装置の開発などを手がける3社を中核企業とするホールディングカンパニーのAホールディングスが、亜臨界水総合システムによる環境問題解決のための連携協定を締結しました。

発がん性の可能性も指摘されるPFASとは

PFASは有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされています。

PFASのうち、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、耐熱性や耐薬品性に優れ、フライパンの表面加工、撥水剤、泡消火剤、フッ素樹脂の製造等で幅広く使用されていましたが、現在は国内での使用・製造が原則禁止されています。

環境中に残り続ける性質を持っているため、「永遠の化学物質」とも呼ばれ、近年では環境汚染や健康への影響が懸念されています。世界保健機関(WHO)傘下の一機関である国際がん研究機関(IARC)が発がん性がある可能性があるとしています。

日本各地の河川や地下水で高い濃度のPFASが検出されており、PFAS汚染は深刻な問題となっています。住民の健康被害の恐れもあり、全国的な対応が急務とされています。

高濃度のPFASを実証実験で88.7%除去

山梨県富士吉田市を拠点とするAホールディングスは、特許技術「亜臨界水総合システム」の活用により、環境汚染の解決を目指す子会社「ウォーターアリンテック」を静岡市に設立。

静岡市では、以前から三保雨水ポンプ場に浸透する高濃度のPFASが問題視されてきました。

2024年7月にAホールディングスが「亜臨界水総合システム」を用いて行った実証実験では、最大で88.7%のPFAS除去に成功。この結果を受け、静岡市と同社は、引き続き国の暫定指針値以下への汚染除去に向けた実証実験を継続していくことになりました。

Aホールディングス加圧浮上分離装置

世界の環境問題解決を目指す

静岡市×Aホールディングス 包括提携式・調印式

さらに両者は「亜臨界水総合システム」の社会実装を促進するため、2024年8月に連携協定を締結。PFASの問題のみならず、放射性物質や産業廃棄物などの有害成分の除去など、この技術の多角的な活用に向けて、Aホールディングスが設立する新法人に静岡市が参画する予定となっています。

Aホールディングスの粟井英朗代表取締役社長は「年内を目処に静岡市と資本を出し合った新法人の設立を目指します。人生全てをかけて成功させることを決意表明とさせてください」と強い意志を示しました。

また、静岡市の難波喬司市長は「静岡市とAホールディングスの科学的根拠に基づいた先進的な挑戦による成果が、世界の環境問題解決に繋がっていくものと期待しています」と述べています。

今後、新法人は静岡市のみならず、広く環境問題に対するソリューションの提供や、SDGsに基づく先進都市づくりを目指していく方針です。

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