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「ふるさと副業」に半数が関心あり!都市で働き地方で副業を希望する理由とは?

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みんな元気かな

コロナ禍が落ち着いた(5類に移行した)現在、東京の転入超過(転入者が転出者を上回る状態)が再び確認されています。

とはいえ、地方移住に関する相談窓口の相談件数は右肩上がりの状況。

副業の世界でも、都市圏に暮らしながら地方に拠点を構える企業で副業をする人たちの動きも目立つ様子です。

そこで今回は、複数の調査を基に、地方企業での副業に関する実態をまとめました。

「ふるさと副業」への関心の高さは根強い

都市部に暮らしながら地方で副業をする行為を「ふるさと副業」と呼ぶ向きがあるそうです。

その走りは「兼業・副業に関する動向調査データ集2022」を出したリクルート(本社:東京都)です。

同調査には、都市圏で働きながら、何らかの理由で関心を持つ地方の企業で副業する行為を「ふるさと副業」と呼び、その「ふるさと副業」について、いくつかの調査を行っています。

例えば「ふるさと副業」への興味があるかとの問いに対して、

非常に興味がある(17.4%)
興味がある(40.0%)

と、調査対象者2,072人のうち57.4%の人が興味を示しています。

調査回答者の中で「ふるさと副業」を実際に実施している人は15.7%とまだまだ少なく、同調査の2020年版(76.6%)の結果と比べると関心を持つ人の割合も減ってしまっています。

しかし、2021年版(56.4%)の結果も同程度だったと考えると「ふるさと副業」に対する関心そのものの高さは、根強く存在するとわかります。

地方出身者ほど地方での副業に関心あり

同様の結果は、パーソル総合研究所(本社:東京都港区)の「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」でも確認されます。

副業を検討している調査対象者1万2,517人のうち、都市圏勤務者の55.3%が「ふるさと副業」に興味関心があると答えています。

その調査対象者を地方出身者に絞ると、69.6%が関心を持っているとも結果が出ています。

ちなみに、この場合の「都市」とは、東京圏・名古屋圏・大阪圏を意味し、それ以外の地域が「地方」に該当します。

リクルート、およびパーソル総合研究所、どちらの結果を見ても、副業意向者(実施者を含む)の半数近くが「ふるさと副業」に興味を持っている様子が確認できます。

現地訪問を前提とした働き方を7割以上が希望

そもそも論として、「ふるさと副業」に興味関心を持つ人たちは、なぜ興味関心を持っているのでしょうか。

リクルートの調査(2022年版)では「ふるさと副業」に関心を持つ57.4%の人たちに関心のある理由を聞いています。

結果は、次のとおりでした。

「自分の関わりのある地域に貢献したい」(47.8%)
「地域問わず、地方創生に興味がある」(41.8%)
「自分の経験や能力を地方企業で生かしたい」(39.5%)
「地方の伝統産業に興味がある」(18.6%)
「UIJターンを検討するきっかけにしたい」(17.2%)

郷土愛はもちろん、地方創生への興味、UIJターンのきっかけ、伝統産業への興味など、副業を1つのフックにして、地方とのかかわりを持ちたい層が一定数存在するとわかります。

さらに、働き方についても「現地を訪問して働きたい」(32.0%)「テレワークと現地訪問を併用して働きたい」(45.1%)と77.1%の人が、現地訪問を前提とした働き方を希望しています。完全テレワーク希望はわずか22.5%。

地方移住の課題の1つは職探しといわれています。

各自治体が用意する移住相談窓口に顔を出したり、移住体験ツアーに参加したりするだけでなく、副業を通じて地方にきっかけをつくり、生活基盤づくりの糸口を模索する方法も、極めて現実的で有効な手段なのかもしれませんね。

[文/坂本正敬]

[参考]
※ 兼業・副業に関する動向調査データ集 2000/2001/2022 – リクルート
※ 移住相談窓口等において受け付けた相談件数① – 総務省
第三回 副業の実態・意識に関する定量調査 – パーソル総合研究所
東京都の人口移動 転入超過6万8000人余 “一極集中の動きに” – NHK
都会の副業希望者×地方企業のマッチングが人気な理由 – ダイヤモンドオンライン

〈bizSPA!フレッシュ〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。執筆者としては、国内外の媒体に日本語と英語で寄稿。翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近では務める。プライベートでは、PTA広報誌の編集長も兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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