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積み立て投資の落とし穴。最近始めた人は「損する可能性大」なワケ

コラム

株価はまだ下がる可能性がある

チャート分析

 2021年後半からアメリカで懸念され始めたのが物価上昇です。40年ぶりの大インフレです。株式投資をしている人も、してない人も困る物価高。2022年11月にはバイデン政権にとって最重要の政治課題である中間選挙があります。この選挙で勝つためにはインフレを抑える必要がある。インフレは、最重要政治課題となったのです。そこでコロナで下げに下げた金利を上げることにした。

 通常は金利を上げるのは0.25%です。0.5%一度に上げると市場は大きな反応を示します。それが、0.75%と大幅に金利を引き上げてみても、インフレ率は一向に収まる気配がない。反応したのは株価です。3万6000ドルだったものが3万ドル近くまで2割も落ちた。

 しかし、バイデン政権にとってみると、選挙前までにインフレは収まった、もしくは確実に収まりつつあるという実感を有権者に持ってもらう必要がある。だから、秋口にかけても、あと何回か市場が驚くような金利引き上げが予想されるわけです。つまり、株価はまだ下がる可能性があるのです。

為替市場の流れが変わる可能性もある

 まとめます。日米両国の株価はざっくり言って、2021年は高く、そこから今年に入って下がってきたというのが大きな流れです。つまり、去年から今年にかけて投資を始めた人というのは、相場が高いところから下がっていく時にわざわざ株式投資を始めたわけです。損するのが当たり前です。

 それでも、米国株投資はまだ救われています。なぜなら、異様な円安が進んだので、株式投資では損をしていても、外国為替で得をしているからです。米国株投資をしている人で、自分はほとんど損してなかったという人に申し上げます。今後、円安から円高に為替市場の流れが変わる可能性もあることを忘れないでくださいね

 事実、過去にアメリカなどに海外旅行した人で、次の旅行の時にと使わないで取っておいたドルをこの円安のうちにドルから円にお得に替えておこうとドルを売る人も少なくありません。多くの人がこんな円安はいつまでも続くもんじゃないと思っているからでしょう。

 ではどうすればいいのか? 近日配信予定の次回、この局面でするべき投資判断についてお話しましょう。

<TEXT/経済評論家 佐藤治彦>

経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』『しあわせとお金の距離について』『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』など多数
■Twitter:@SatoHaruhiko

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