コロナ苦境のタクシー業界「大幅な売上減から人手不足に」運転手が語る現状
人出・売上ともに戻ってきたが…
夜8時に閉店していた店も営業を再開し、緊急事態宣言下ではめっきり姿を見せなかったというサラリーマンの姿も街に戻ってきている。
「営業時間は流行前と同じ午後3時~翌午前1時、もしくは午後4時~翌午前1時までに戻りました。コロナ禍では5時間勤務だったので、ちょうど倍に増えたことになりますね」
営業時間の延長が売上増につながっているのは確かだが、流行前より売上が伸びたのはなぜか。
「緊急事態宣言で時短営業やシフト減を行ったとき、うちだけでなく、北海道全体のタクシードライバーの数が減少しました。タクシードライバーは高齢化が進んでいるので、一度辞めると、需要が戻ってきたからといって復職する人はほとんどいません。その結果、道内はタクシードライバー不足に陥りました」
「70歳くらいまで続けられたら」
佐藤さん自身はもともと街中を流して客を拾う営業スタイルを採用しているが、現在は客待ちをする必要もないという。長らく低迷していた業績が回復するのは喜ばしいことだが、売上アップよりも、安全運転を心がけたいと笑う。
「以前、大きな事故を起こしたことがあるので、需要が伸びているからと言って売上ばかりにとらわれず、まずは安全第一で営業したいですね。疲れたら休むをモットーに、70歳くらいまで続けられたらなと思っています」
コロナ禍の影響をもろに受けたタクシー業界は、危機を脱して景気を回復しつつある。ただ、ドライバーの高齢化や、コロナ禍の影響で減少したドライバーの補填など、解決すべき問題はまだまだ多いようだ。
<TEXT/月森ちゃみ>