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誤振込されたお金は返さなくてよい?山口阿武町「4630万円返還拒否」騒動を弁護士に聞く

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世帯主に入れ知恵した人物がいた?

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 そもそも誤送金を世帯主が受け取ってから、4630万円を一瞬で完全に使い切るのは難しい。

想定できるのは世帯主に借金があり、そのお金を返したのかなと。4630万円の借金を返したとしても、そこに債権者がいるわけです。もし役場が誤送金の金銭を貸金の返金に使用したというのを把握したら、その金銭を受領した債権者に対して返還請求することも一応、考えられます。ただその債権者が誤送金の事実を知らないまま返金を受けたのであれば、お金を返す必要はありません。

 この世帯主がどんな生活をしていたのかわかりませんが、仮に生活保護を受けていて債権者側も把握していたのなら、『いきなりこんなに多額のお金を手に入れるのはおかしい』ということで、ある程度事情を把握した上で返金に応じてくれる可能性もあるでしょう」

 ちなみに最初の報道で返金に応じるとあったが、その後「返金しない」と変わった。これに対して「周りにいる人が入れ知恵をつけたのでは?」と坂口弁護士は指摘。

「普通なら4630万円を稼いで貯金するのは大変じゃないですか。極端にいえば懲役3~5年で刑務所に入ったとしても、『仕事に行ったと思って、このお金を隠せばいいんじゃないの?』と入れ知恵されたという可能性もなきにしもあらずですね」

お金を回収する方向で最大限の努力を

 戻ってこなかった場合、役場職員が代わりに支払うことも考えられる。

「法律的に職員に重過失が認められる場合など、住民訴訟等になる前に公共団体がミスした職員に対して請求することはありえます。今回も職員の重過失があるかどうかで、その請求が認められるかどうか変わってくるかと思います

 同じようなケースで、簡単なミスをした職員に対して、半分の金額だけ公共団体が職員に対して返還を求めた事例もありました。ただ職員に対して今回のような多額の債務の責任追及をすると、今後の職員の仕事ぶり等に大きな萎縮的効果が及ぶこととなり、役場の仕事が滞ってしまう可能性もあるので、そもそも、職員に対し責任追及するのかという判断も難しいところがあります」

 なんとなくこれまでの役場の受け答えをみると、「このまま泣き寝入りしてしまうのでは」と思ってしまう。坂口弁護士は最後に「泣き寝入りするかどうかは、いろいろ努力してから決める話ですね。やはり税金なので、できることはしっかり行い、お金を回収する方向で最大限にやってもらいたいですね」と語った。

 4630万円がある日自分の銀行口座に振り込まれていても、通常なら天の恵みとは思わないだろう。早く世帯主は観念してお金を返し、国民のモヤモヤした気持ちを解消してもらいたいものだ。

<取材・文/大川藍>

【坂口靖】
プロスペクト法律事務所代表弁護士。千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。千葉県弁護士会民事介入暴力被害者救済センター副委員長。刑事事件実績400件以上。Twitter:@yassiyassiyassi

ライター。スイスで滞在中にフリーランスとして目覚める。おつまみ系や占い、インテリア系も執筆中。興味のあるものならなんでも記事にしてしまう遅咲き主婦

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