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仕事は見返りのない苦しみ?「働くのやめた」若者が世界で増加中のわけ

学び

資本主義自体が末期?

FIRE

 これは資本主義から派生する考え方だが、酒井氏によると、その資本主義自体、末期症状を呈しているという

「ダボス会議の昨年のテーマは社会・経済システムの抜本的転換を促す『グレート・リセット』とされ、資本家や投資家のなかには『バブルは今回が最後』とも言う人もいる。もしグレート・リセットが実現すれば、FIREを可能にしている金融資本主義も一挙に崩壊するかもしれない。それが、いま世界のトップエリートに共有されている認識。労働からのエクソダスは、沈んでいく船から逃げ出すという自然な動きなのでしょう」

 アフターコロナのパラダイムシフトに順応する自信や気力がなければ、FIREなりアンチワークなり、働かない生き方の検討が必要なのかもしれない。

<取材・文/池田 潮 取材・翻訳/ディーン 春菜>

【松本 哉】
古物商、「世界マヌケ革命」を目指す東京・高円寺のリサイクルショップ「素人の乱5号店」店主。海外のオルタナティブスペースとも交流が深い。著書に『世界マヌケ反乱の手引書』(筑摩書房)など

【アミン・アズムデ】
エンジニア。起業家。ゴールドマン・サックス東京支店にMDとして勤務。2017年に退社後、「投資SNS」と「仮想通貨の自動損益計算」サービスを提供する株式会社クリプタクトを起業し代表取締役を務める

【酒井隆史】
社会学者。大阪府立大学教授。専門は社会学、社会思想。著書『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 』(岩波書店)、訳書『負債論 貨幣と暴力の5000年』 グレーバー(以文社)など

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