「ハリポタ」の次がなぜマリオ?ユニバーサル・スタジオ・ジャパン経営の裏舞台
コロナ禍による苦境と運営方針について
コロナ禍によるメリットについても語ってくれた山本氏だが、キャパシティが小さくなり、売り上げは非常に厳しい状況にあると言う。
「運営は厳しいですが、ゲストの安全が第一です。安心して楽しめるというのは私たちにとって根本的なことなので、ソーシャルディスタンスを守り、保健所や大阪府と常に連携を取りながらガイドラインに沿った運営をおこなっていくことに変わりはありません」
とにかく「お客様の安全を第一に考える」運営方針のユニバーサル・スタジオ・ジャパン。しかし、2021年10月下旬には大阪市の停電が原因でジェットコースターが停止し、11月下旬には営業終了後のアトラクション内でボヤ火災が発生。一時はファンをやきもきさせた。
「大阪府で停電が起こっていくつかのアトラクションは停止しましたが、安全のために停止しました。もし停止せずにあのまま動いてしまうと追突して危険な状態につながるため、むしろ停止は安全の象徴なのです。また、危険ではなく安全な状態で止め、安全に脱出するといったことが重要だと考え、策を講じています」
リピートするほど深い体験に
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは「リピートしても、いつ行っても楽しい場所」を目指している。そのため「スーパー・ニンテンドー・ワールドではパワーアップバンドを購入すれば、コインやデジタルスタンプを貯めることで成長し、クッパジュニアJr.と戦う特別な体験ができる」など、リピートすればするほど深い体験ができる初の仕組みも取り入れられた。
「毎年1~2月のはじめに開催している『ユニバーサル・クールジャパン』も、そういった考えのもと企画しています。コロナ禍によってさまざまなアプローチもチャレンジしていこうという若い社員たちのアイデアによって、2021年11月23日にはオンラインホラーイベント『呪われたオンライン・パーク・ツアー』も開催しました。
ユニバーサル・スタジオのテーマパークは世界に5つありますが、日本ならではの、日本に来るための理由になる、日本が誇れるパークにしたいと考えています。また、経済が停滞している日本に希望を与えるという意味でも、日本発信の強いコンテンツを選んでいます」
コロナ禍のあおりを受けながらも、夢と希望を与え続けてくれるユニバーサル・スタジオ・ジャパン。華やかな舞台裏を支えるスタッフたちの努力や苦労も噛みしめつつ、アトラクションレストラン、ショッピング、そしてクルーたちとのコミュニケーション心ゆくまで楽しみたいものだ。
<取材・文/山内良子>