四国新聞の“報道”に抱いた違和感。衆院選「香川1区」ウォッチしたダースレイダーが解説
陣営ごとの熱量の差が浮き彫りに
ちなみに、町川さんにも小川さんからの立候補取り下げ要請の話を伺ったら「自民党の県議からも実は出馬取り下げ、もしくは香川3区で出馬してくれないかという要請があったが、立憲民主党も自民党も同様に断って日本維新の会から立候補した」という旨の回答をいただきました。
小川さんと自民党の両者から同時期に要請されていたにもかかわらず、四国新聞では小川さんのほうが非常に大きく取り上げられる結果になったことがわかりました。
平井さんは昼間は個人演説会という僕らが入れない活動をされていたので事務所に伺いました。秘書の方が対応してくれて、事務所入り口までは案内してくれましたが、熱気というよリはピリピリした緊張感を強く感じました。ただ30日夜には平井さんが商店街をパレードすると四国新聞に掲載されていたので、僕らは平井さんの街宣スピーチをまずは最前列で聞きました。
平井さんはスピーチ中に何度もデジタルという言葉を連呼し、大島新監督の映画について「自分は見てはいないがPR映画だ!」とかなり厳しい口調で話しています。ただ『なぜ君は総理大臣になれないのか』に関してはそもそも大島監督の作品で小川さんに頼まれたものでもなく、内容的にも18年に渡る活動を追いながら希望の党騒動で揺れ動く小川さんの選挙戦がクライマックスになっています。平井さんは辻立ちをしているところが映りますが、むしろしっかり活動している姿が出てくるだけです。
スピーチを終えたらパレードです。僕らもそのまま一緒に参加しました。パレードといえばディズニーのエレクトリカルパレードのようなものを想像していました。しかしながら、その実態はパレードという華やかな言葉のイメージとはなかなか乖離したものでした。
平井さんを先頭に、揃いの黄色い服を着た平井陣営の人々がついて歩いていたのですが、平井さんの歩みがすごく早いので、周りもなんか遠巻きに見たり、遠ざかっていっちゃいます。そこに平井さんが近寄っていってグータッチをします。商店街からたくさんの人々が出てきて手を振ってる中を歩くイメージだったのでちょっと驚きました。
で、そうこうしてるうちに全然人のいないエリアに出ちゃってただ歩いてるだけ、みたいな状況になってしまいました。途中、やっと居酒屋の女将さんが話しかけてきたので平井さんも常連なのか? と思ったら「先生、10年ぶりじゃないの!」なんて言われていて全然顔出してないじゃん! とこれまた驚いた次第です。僕とプチ鹿島さんはパレードに最後まで参加して平井さんとスリーショットも撮りましたが、パレードというより見回り隊に参加した気分でした。
一般の支持者と祭りを起こした小川陣営
平井さんのパレード後、僕らは小川さんの陣営に向かいました。20時にマイクやスピーカーの使用をやめなければいけないというルールがあり、小川さんは地元の円座というエリアで最後の10分間マイク納めをすると聞いていたのです。
で、到着するとそこは、本当に人・人・人でごった返していました。これはもう完全に夏祭りの賑わい。そして、その集まっている人の内情も平井陣営とはまったく違いました。平井さん側は選挙スタッフばかりでしたが、小川さん側には全国から集まった支持者たちやボランティア。つまり一般の人々でした。
僕が小川陣営で祭りの大きなエネルギーを感じたのは、マイク使用終了間際のことです。最後に小川さんが10分間でスピーチをすることになったのですが、10分で収まりきらず、マイクを置く時間のカウントダウンをした後は、地声で話されていたんです。集まった人々は、後ろの人も見えるように前の人は自然にしゃがむなど、その場が一体となった雰囲気がありました。
両者の活動を見た結果、平井さんと小川さんは対照的な選挙を活動していたことがわかります。平井さんは関係者と岸田文雄総理大臣や、デジタル大臣の牧島かれんさんなどを呼んだ個人演説会を多くやっていました。つまり、組織動員の表を固めていくという戦略です。対して、小川さんは街に出て、ボランティアとともに自転車で何キロも走るような選挙活動をやっていました。
SNSやネットの使い方でも小川陣営は初代デジタル大臣を向こうに回してかなり多様なアプローチをしていましたが、これも全国のボランティアの協力によるものとのことです。平井陣営はその日の活動を編集した動画をあげていましたが、きっちりした事務仕事という印象です。
これは東京8区と同様で、祭りを消す側と起こす側みたいな構造です。現場で実際に体感すると選挙戦が非常に面白くなるのだと実感することができました。