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ブランド撤退の危機も…森永乳業「MOW」復活リニューアルの舞台裏

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リブランディングに再起をかける

 しかし、乳業メーカーという意地をかけ、MOWが提供できる付加価値を考え直し、再起をかけるべく2015年に大幅なリニューアルを敢行した。リブランディングをしたからと、必ずしもV字回復できるという保証はない。リスクを背負ってでもリブランディングを行なった経緯を次のように話す。

「カップアイス市場は非常にボリュームがあり、まだまだ伸びしろがあるマーケットでしたので、10年以上継続してきたMOWを終売してしまうのはもったいないと思いました。そこで、MOWのブランド価値をもう一度、ゼロから考え直し、MOWの特徴であるミルクのコクや手づくり感をどう訴求すれば、お客様へ伝わるか試行錯誤しました。

 リブランディングは『守るべきもの、変えるべきものは何か』を決める。つまり、成功する青写真を描きながら、取捨選択していく必要性があるということです。当時の担当者からは『立て直せるかどうかは未知数で、半ば挑戦する気持ちで取り組んだ』と聞いており、勝算よりもチャレンジ精神で実施したというのが、リニューアルした背景になっています」

復活の決め手は「ビジュアルとロゴ」

森永乳業

2012年のパッケージ

 主にリニューアルしたのはロゴとパッケージだ。発売以来、ほぼ毎年のようにパッケージに手を加えてきたなかで、今のパッケージにたどり着いたのは「時代とともに変わる嗜好の変化に合わせて、アイスの美味しさがより伝わるよう工夫を凝らした」と柳迫氏は述べる。

「リニューアル前までは、ソフトクリームを見立てた、渦巻くような見た目のパッケージを展開していました。ただ、ミルクアイスの魅力を出すために、牧場の絵を描写してみたり、カップですくっている様子の画を取り入れたりと、色々と試してみたものの、なかなか時代のニーズに合ったパッケージは見出せずにいたんです。

 そんな状況のなか、ミルクアイスよりもバニラアイスのほうが求められていることが、ユーザー調査でわかってきた。そのため、ミルクとバニラのバランスを調整し、バニラアイスとして訴求していくことに決めました

森永乳業

2015年のリニューアル時のパッケージ

 そこで採用したのが「溶けたアイスのビジュアル」だった。当時このようなビジュアルでシズル感を表現する商品はなかったとのことだが、そこにはデザイナーの創意工夫があったという。

「これまでのMOWを象徴する渦巻きアイスから、球体のようなアイスへと変更し、『アイスが溶けているシズル』を表現しました。溶けた状態のアイスをビジュアルにするのは賛否両論ありましたが、生まれ変わったMOWの魅力をどうビジュアルに落とし込むかを何度も考えた末に、MOWが考える『シンプルさ』をベースに、アイスの上質感やなめらかなおいしさを表現しました。それに合わせてロゴも、ポップで可愛らしさを連想させる丸みを帯びた字体から、洗練されたシンプルなロゴへ変更しました」

 バニラアイスに寄せ、大人向けに打ち出したことで、MOWの売上がリニューアルを境に復調していく。こうして、リブランディングを成功させ、再び躍進することになったのだ。

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