「日本一の魚屋」角上魚類、鮮度の良さ・安さのカラクリを新潟まで確認しに行ってみた
食品ロス率はまさかの0.05%未満
極端なことを言えば買い手がつかなければ、魚がパンパンに詰まった一箱でも、たった数百円になってしまうこともあるようです。こういった、その日「鮮度が良いのに、相場より安い」魚ばかりを落札し、客に提供するのが角上魚類流の仕入れ方。
また、よく口にする定番魚種だけでなく、仮に認知度の低い魚であっても、美味しく食べられる新鮮な魚であれば、どんどん店頭に並べるのもまた角上魚類流なのだそうです。
しかし、そうは言っても足が早い魚です。「見たこともない魚が多いと、売れ残ったりして食品ロスなどもさぞ多くなるのではないか」とも思います。しかし、小売業の食品ロス率の平均が6%前後であるのに対し、角上魚類はまさかの0.05%未満なのだそうです。本当にどうしてこれが実現できるのか、ますます謎めいて見えます。
競りの前後に電話をかける?角上魚類流仕入れ
ここで角上魚類のバイヤーの人が、何やら携帯電話で話をしています。大事な仕入れの時間なのに私用の電話とかしちゃってる!……と、見てはいけないものを見た気になる筆者でしたが、実はこの仕入れ中の「電話」もまた、角上魚類ならではの仕入れにおける重要なメソッドのひとつなのだそうです。
角上魚類の仕入れは新潟だけでなく、東京の豊洲市場でも同時間帯に行われます。つまり新潟仕入れの魚、豊洲仕入れの魚双方が店頭に並んでいるというわけですが、仕入れの際その日に市場に並んだ特定魚種の相場を、新潟・豊洲双方で、毎朝電話で確認し合うのだそうです。
どちらの市場に入った魚の鮮度が良く、安く仕入れられるかを判断し、優れたほうを買い付ける……という角上魚類ならではの独特の手法のようです。
この合理的な連絡網により、角上魚類のバイヤーの方々が、新潟・豊洲双方で少しでも安く良い魚を仕入れ店頭に送り込んでいるというフローになっているというわけです。