夢を諦めた元芸人が語る、社会の厳しさと「枚方パーク」に就職したワケ
今になってダウンタウンと共演
――業務としてはどういう内容なのですか?
後藤:駐車場の受付で、ひたすら料金をいただく日もあれば、駐車スペースにお客さまを誘導する日もあれば、駐車場の前に立って入出場を誘導する日もあります。この部署もね、お客さまとの関わりが楽しいんですよね。みなさん今から楽しもうっていうウキウキが伝わってきまして。
――芸人さん時代のファンの方も来られるそうですね?
後藤:SNSをやっているんで、ぼくがここで働いていると知ったんでしょうね。わざわざ千葉県からお土産をいっぱい持って来て「やっと会えましたー!」って喜んでくれる方もいるんですよ。こんなに嬉しいことないでしょ?
――しかも、ときどきテレビやドラマにも出演されたりも?
後藤:そうなんですよ。まったく想像していなかったことなんですが、ドラマの撮影を「ひらかたパーク」でするっていうときに、ちょっとだけ出演したりね。あと、芸人時代は叶わなかったダウンタウンさんのお2人とも共演できたんですよ。芸人を辞めてから初共演って、「いまごろ?!」って思いましたよ(笑)。
今が一番幸せで面白い
――お話を聞くと、本当に充実しながら仕事をされていますね。
後藤:再就職する前は、おそらく「芸人時代の楽しさを抜くことはないやろ」っていう思いがどこかにあったんです。でもね、若い女の子たちからワーキャー言われる楽しさと同じぐらい、ここでの仕事は楽しいんですよ。働いている人も、遊びに来てくださる方もみんな温かいし癒しもあるし。だから、今が一番幸せやし、面白いんですよ。これは、強がりじゃなくて本音ですからね。
――なるほど。では最後に新たな道を歩もうか悩んでいる方にメッセージをお願いできますか?
後藤:うーん……。芸人を辞めるっていうのは、すごい勇気がいることなんですよね。ここであきらめていいのかとか、収入はどうしようとか。それをすぐ決める必要はないとは思うのですが、ぼくの経験を振り返ると、人との巡り合わせを大切にしたら、きっと何歳になっても人生のピークを迎えられると思うんです。ぼく自身はこの幸せを知ったので、芸人に戻りたいっていう気持ちはないぐらいですから。可能性をあきらめずに、何かしら新しい一歩を踏み出してほしいですよね。
<取材・文/橋本未来 撮影/大森泉>
【後藤秀樹】
1972年、大阪府高槻市出身。1991年に同期のお~い!久馬とコンビ「シェイクダウン」を結成。2000年に解散し、その後はピン芸人として活躍。2014年に芸能界を引退し、現在はひらかたパークで駐車場の係員として働く。
Twitter:@hideki19720121