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ANAは過去最大5100億円の赤字。航空、鉄道業界で働く人の本音は?

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航空、鉄道、運輸、倉庫「社員の相互尊重」ランキング

ANA

全日空 © David Econopouly

 続いて、「社員の相互尊重」について、スコアが高い順に企業を並び替えました。

【「社員の相互尊重」ランキング】
1位:ANA成田エアポートサービス株式会社
2位:ANA新千歳空港株式会社
3位:日本トランスオーシャン航空株式会社
4位:日本郵船株式会社
5位:エバー航空
6位:株式会社スターフライヤー
7位:シンガポール航空
8位:チャイナエアライン
9位:株式会社ドリームスカイ名古屋
―――――
138位:フェデラルエクスプレスジャパン合同会社(3.3)

 こちらの評価軸については、総合ランキング上位の企業も上位に残っていました。具体的には「日本トランスオーシャン航空」「日本郵船」の2社です。また、総合ランキング上位の企業で「社員の相互尊重」スコアが最も低かったのが「フェデラルエクスプレスジャパン合同会社」でした。

 イメージがつかみやすいよう、「社員の相互尊重」観点で評価が高い企業のコメントと、総合ランキング上位の中で「社員の相互尊重」観点が低めの企業のコメントをご紹介します。

【平均評価が高い:ANA成田エアポートサービス社員の口コミ】
 チームで力を合わせて、旅客を送り出す。飛行機のプッシュバックを見るといつも達成感を味わえた。 評価については、頑張っていれば、その頑張りを必ず見てくれている人がいる(グランドスタッフ、在籍5~10年、女性)

【平均評価が低い:フェデラルエクスプレスジャパン合同会社社員の口コミ】
 自分の能力を発揮する及び成長させることを望むのであれば、お勧めはできません。安定した給料・有給・自分の時間を望むのであればよいかと思いますが、仕事に対して意欲を持っている人には、だんだんとやる気をそがれていくような企業文化が根付いていると感じます(輸入通関部、貿易事務、在籍5~10年、女性)

「社員の相互尊重」という言葉のみ見ると「社員同士の仲がいい」というような状態をイメージしますが、実際のクチコミを見ると、「社員の相互尊重」スコアを高くした回答者は「頑張りを見て評価してもらえる」と感じる一方、スコアを低くした回答者は「能力を活かして、仕事をする意欲が削がれる」と感じることがわかりました。

 職場が「仕事をして、成果を出す場」である以上、相互尊重も成果や評価に紐づいたものになると考えられます。その点を踏まえてクチコミを読み込んでいくと、各企業の姿が見えやすくなるでしょう。

総合ランキング上位9社を比較した結果

 総合ランキング上位9社の比較結果を表にまとめると下記のようになりました。「OpenWork」内の情報(残業時間・有休消化率)と、各社の有価証券報告書・公式サイト掲載のデータ(収益・当期利益・平均年収・従業員数)を使って比較してみます。

オープンワーク

表:航空、鉄道、運輸、倉庫業界上位9社の比較表(筆者作成)

 フェデラルエクスプレスジャパン・キャセイパシフィック航空以外は、すべて2019年4月1日~2020年3月31日までの値です。キャセイパシフィック航空・エミレーツ航空については、公式が発信している該当企業単体の決算情報があったため、10月10日時点のレートを用いて日本円換算しています。

 このように整理すると、平均残業時間が1桁台の企業(エアージャパン・キャセイパシフィック航空・エミレーツ航空)も複数みられ、残業時間が少ないことが上位企業のスコアが高い要因のひとつであると言えそうです。

 本項目では、これらの違いについて掘り下げるべく、各社のクチコミのうち、「企業分析[強み・弱み・展望]」カテゴリを中心に各社の花形事業など、各社の特徴・カラーがわかるクチコミを集めました。

【日本郵船株式会社】
強み:歴史や顧客基盤は強み。また人材についても優秀な人達が集まっていると思う。
弱み:海運業界そのものが市況に大きく左右される業界でもあり、今までとは異なる創意工夫で事業を変えていく必要がある。
事業展望:本業の海運業は全世界的に船腹過剰ということもあり、今後急成長していく分野ではないが、まずは地道に会社として本業で儲かる体質作りを行なった上で、大きなビジョンを掲げ、新しい価値を提供していけるような新規事業を積極的に展開する。
(営業、在籍5~10年、男性)

【日本トランスオーシャン航空株式会社】
強み:沖縄の航空会社としてJALグループの中でも稀有な存在。また国内キャリアにおいて整備部門、客室部門、本社機能を有する数少ない会社で中小エアラインでは唯一といっても過言ではない。そんな組織構造なので部門間での横のつながりが非常に強い。労働集約の最たる例であるエアラインビジネスにおいて、部門横断的な連携は非常に強いアドバイスである。
弱み:何にせよ、JALへの合議が必要で意思決定が非常に遅く、また自社での判断が出来ない。
事業展望:沖縄という観光地のポテンシャルをJALグループとして如何に認識して、投資できるかが重要。A社は豊富な人的リソースや資金面での沖縄への投資が最近目立ち、おされがち。
(総合職、主任、在籍5~10年、男性)

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