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「コロナで給与がゼロに」出版社に新卒内定した22歳女性の絶望

学び

急な自宅待機命令

 それからすぐに会社から連絡があり、「来年までアルバイトは全員自宅待機」と言い渡された市川さん。その間の休業補償は一切なかったという。

「他にも大学を卒業してここに就職するつもりの子もいたのに。一人暮らしで収入がなきゃ生活していけないなんてこと、想像したら簡単にわかりますよね。会社は私たちアルバイトを使い捨ての道具としか思っていないんだなと思いました」

 会社内の人間関係は良好だったようだが、小さい会社だったためかなり社長のワンマンなところがあったそうだ。

「自宅待機命令が出たあと、何人かの社員は気遣いの連絡などをくれたのですが、社長からは何の言葉もありませんでした

運良く他の出版社に内定

笑顔の女性

 しばらくは落ち込む日が続いたそうだが、「これでは将来の見通しが立たない」と転職活動を始めた市川さん。数か月の転職活動のあと、他の出版社に内定をもらい、現在はそこで社員として働いているという

「お給料も前の会社とは比べ物にならないくらいいただいていて、水商売の仕事も辞められました」

 会社の人間関係にも恵まれ、楽しく仕事ができていると話す。

「確かに4月からの数か月間はつらかったですが、A社での経験を今の仕事に応用できることもありますし、全てが無駄だったわけではないと思っています。若いうちにこの経験をできたことが不幸中の幸いかな」

 市川さんの場合運良く転職することができたが、ただでさえコロナで陰鬱としたこのご時世に収入がゼロになったら……と考えるとゾッとする。大学生には、本当に納得できる会社なのかよく考えてから就職先を選択してほしい。

<取材・文/火野雪穂>

1997年生まれ。映画好きのWEBディレクターです。絵心がありません。

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