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居酒屋「塚田農場」が食堂をオープン。コロナ禍で飲み方も変化

ビジネス

食堂飲みは「カッコいい」

 こうした困難を乗り越えてきたAPCだが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、再び苦境を強いられている。それは飲食店の運営自体を見直す局面に差し掛かっているという。

「会社としても、外出自粛要請期間中はお店を全て休業せざるを得なかった。その間、テイクアウト・デリバリーに対応したり、宅飲み需要に合わせた『おうち塚田農場 家飲み便』を始めたりと、粛々とできることをやってきました。消費者ニーズやライフスタイルの多様化に応えるため、食産業のあり方を再考せねばならないと痛感しましたね」

エー・ピー

新たにスタートした「おうち塚田農場 家飲み便」

 飲食店業界は2010年から今に至るまで、居酒屋店舗数が10%も減っているという。従前の居酒屋ビジネスにはない、新たな突破口を見出すため、業態としては初の食堂スタイルである「つかだ食堂」を6月から始めた

「お金の使いどころは変わると思いますが、人であれば必ずごはんは食べる。宴会需要が縮小した分を食堂業態で担保しようと思っています。宴会だけでなく、“昼飲み”“早飲み”、“ちょい飲み”などさまざまなニーズに応えられる“食堂”であれば、一人でもグループでも団体でも利用できる。実は漫画の『深夜食堂』の影響で、食堂で飲むということが、かっこいいという認識が広がってきているんです。コロナを機に食堂という名前へ変更した飲食店も多いです」

昼間から飲む人がコロナ禍で増えた

エー・ピー

初の食堂スタイルである「つかだ食堂」

 最近ではテレワークを導入する企業も増えてきている。リモートワークは自分のペースで仕事を進められるが「当然、飲み方も変わってくる」と横澤氏は分析する。

「以前と比べて、昼間からアルコールを飲む人も増えてきたように感じます。生産性が高く、早めに仕事を終わらせて、昼間から飲めることは“かっこいい”という風潮が生まれてくるかもしれません。また、ハッピーアワーはだいたい17時と思われていますが、1時間早めて16時から始めたところ意外と好評だった。コロナの影響によって、いい意味でライフスタイルの垣根がなくなっていると感じています」

 アフター5に居酒屋に立ち寄って、お酒を酌み交わす。忘年会や新年会などの宴会時期には、団体で景気良くお酒を飲む。このような飲み会のシーンも、今後はライフスタイルに応じて細分化していくのではないだろうか。

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