bizSPA!フレッシュ

日本は服の自給率が低い。「国産アパレルブランド」が持つ危機感

ビジネス

世の中を動かすのは、正しさよりも楽しさ

山田敏夫さん

生産者の思いを伝えるため、日夜努力する

――日本製とD2Cという2つのポイントを知った上で、山田さんの伝える工夫を聞かせていただきましょう。

山田:いくら工場の技術力が高くとも、「日本のモノづくりを守ろう」とか「国内産業の復興支援」といった表現では、お客さんは買いたいとは思わないはず。じゃあ、何が必要か?

 僕は、安心感と納得感をもって提供することが大切だと思います。そのために、言葉でうわべだけ伝えるのではなく、実際に作り手と使い手が会って魅力を実感出来る機会を設けています。

 そのひとつが、毎月開催している工場ツアーです。使い手(お客さん)がモノづくりの現場を実際に見て、その後はお酒を交えつつ作り手と会話する中で、どんな人がどんな思いを込めて製品を作っているかを知ってもらうんです。

 僕は究極、人は人のファンにしかならないと思ってます。この取り組みを通して工場のファン、いわば“工場推し”になってもらいたい。AKB48の「神7」みたいに、僕と一緒に仕事をする工場には、神55になってもらえたらいいなって(笑)。

納得して繰り返し買ってもらいたい

――工場推しは面白い表現ですね。そうやって楽しい実感を伴って伝える工夫が凝らされているんですね。

山田:あと、ちょっと意外かもしれませんが、面白さを理由にモノを買う人はリピーターになりづらい。面白いアンテナが高いから、他の目新しい商品を見つけたら心変わりする可能性が高いんです。それは本当のファンではないですよね。

 うちのお客さんには「あの工場の誰々さんが作ったものだから欲しい」と納得して繰り返し買ってもらいたいと思っています。

おすすめ記事