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日本は服の自給率が低い。「国産アパレルブランド」が持つ危機感

ビジネス

国内生産比率はわずか3%まで減少

――幼い頃から日本製の服が身近にあったからこそ、素直に日本のモノづくりの良さに向き合うことができたのですね。ただ、若い人にとっては海外発のブランドのほうが馴染み深いのが現状かと。日本製のファッション製品はいま、どんな状況に置かれているのでしょう。

山田:確かに、若い人にとっては海外ブランドを着る機会のほうが多いでしょう。ファッション製品の国内生産比率は、1990年の50%から2014年には3%まで減少しています。

 その一因には、コストカットのためにメーカーが海外生産にシフトした過去があります。とはいえ、僕が創業から6年かけて訪れた工場の数は600以上。まだそれだけの国内工場があるのです。

――日本は食糧自給率も低いですが、服の自給率も低いのですね。驚きです。

山田:でも中には世界的な有名ブランドの服を手がける工場があるんです。にもかかわらず、お客さんは工場の名前も知らない。日本の工場は技術力があるのに、これまで表舞台に立ってこなかった。ファクトリエがやるべきことは、お客さんにその商品の魅力をきちんと伝えることだと思っています。

販売面でも従来とは異なる挑戦が

工場まとめ

これまで全国各地の訪れた工場の数は600以上に及ぶという

――日本製への情熱がヒシヒシと伝わってきましたが、販売の仕方も独特だと聞きました。

山田:はい。中間業者を介さずに、工場から弊社を通してお客さんに直接届けることで、マージンを上乗せせずに販売しています。こうすることで工場はメーカーに搾取されることなく、お客さんはより求めやすい価格で購入できます

――つまり、D2C(Direct to Consumer)のビジネスモデルを採用しているのですね。

山田:そうですね。販路はECがメインですが、実物の確認や試着をしたいお客さんのためにフィッティングスペースを銀座・名古屋・熊本に展開しています。フィッティングスペースで気に入った商品はその場で注文でき、後日自宅に配送される仕組みです。

 スペースには素材や工場で使われる機器も配置することで、実際に商品に触れ、職人の息吹を感じられる顧客体験を提供しています。

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