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スシロー、回転寿司業界で独走。新型コロナでも「回転レーン継続」

ビジネス

主力商品の寿司のコンテンツ力に強み

 まず、有名シェフとのコラボ商品フェア「匠の一皿」が例に挙げられるでしょう。直近は第8弾と順調に回数を重ねているようです。いずれも各シェフの発想を活かした、寿司の枠組みにとらわれない意外性と高級感を両立させた商品となっています。

 そして、SNSで展開している「すしフォト」キャンペーンでは、顧客自ら商品写真をSNSに共有する設計です。このキャンペーンのために用意された「#スシローぜ」タグをたどると、顧客が実際に注文して食べた商品の写真がずらっと並びます。これらを見ると、総じてネタのサイズが大きく、食べ応えがありそうです。

杉玉

 また、デザートについては女性受けする感性を取り入れて、「つい共有したくなる、可愛くておいしい」商品になっています。特に、台湾のタピオカミルクティーショップ「Sharetea」(2020年3月時点では日本において未展開)とのコラボ商品は「スマートフォンのライトを当てると光る」ようになっており、話題づくりの点でもとても優秀です。……と、これのみでは予想通りで面白くないので、次の項目では別の切り口から触れてみたいと思います。

「新業態の全撤退」という失敗経験

杉玉

図:「杉玉」公式サイトトップ(※公式サイトより引用)

 スシローグローバルHDは、「スシロー」業態の好調に安泰とせず、新業態開拓を積極的に行っています。この過程で一度「新業態の全撤退」という失敗をしているのですが、そこでの反省を活かし、直近では新業態の成果が表れているのです。

 この点が興味深かったので、時系列で整理してご紹介します。まず、2015年の1月にツマミグイ1号店を中目黒に開店したのを皮切りに、同年6月に赤坂見附(2号店)、7月には新橋(3号店)を開店しました。

 続いて、同年10月に連結子会社スシロークリエイティブダイニングを設立しています。この子会社は新業態開発の効率化を目的として設立されました。ここから、翌月11月に、ツマミグイ1号店(中目黒)を「七海の幸」に業態転換して再起を図ったのですが、七海の幸・ツマミグイともに2016年8月までにすべて閉店・撤退することになったのです。

 しかし、ここからが興味深い点なのですが、翌年2017年8月には新業態「杉玉」1号店を西宮に開店させました。以降、杉玉業態は順調に拡大を続け、2020年2月にも2店舗新規開店しました(横浜西口店・大和西大寺店)。

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