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渋谷パルコが目指す「次世代の商業施設」のあり方。その立役者が語る

ビジネス

本気でファッションを再考する

 新生渋谷パルコの開業前、泉水氏は海外視察を行ったことで、日本のファッションの可能性を感じ、「最先端を行くファッションビル」として打ち出す決意をしたという。

「世界4大ファッションショー(パリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク)を見に海外視察へ行った際、東京のファッションは海外で高く評価されていました。

 原宿発の裏原系ストリートファッションやロリータファッション、川久保玲の『コム・デ・ギャルソン』、山本耀司の『ヨウジヤマモト』といったDCブランドなど、世界に誇れる日本のファッションを再評価し、東京のあらゆるファッションの要素を、渋谷パルコに結集できないか考えたのです」

 売れ筋のファッションブランドやビューティなどを出店するのではなく、ファッションビルとして新たな挑戦ができないか。このような想いは、店舗構成にも表れている。

 1階にあるSHOTENGAI-EDIT-TOKYOでは、ラグジュアリーブランドのポップアップショップの他に、コム デ ギャルソンの新業態である「コム デ ギャルソン ガール(COMME DES GARCONS GIRL)」を出店させている。

 さらに、2階にはモードファッションのイッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)やYOON(ユーン)とVERBAL(バーバル)が手がけるアンブッシュ(AMBUSH®)。

 3階には原宿の伝説の古着屋として名高いベルベルジン(BerBerJin)、4階は東京のリアルクローズを体現するスナイデル(SNIDEL)やアダムエロペ(ADAM ET ROPE)。

 そして5階には原宿ファッションの人気ブランドであるジュエティ(jouetie)やランドバイミルクボーイ(LAND by MILKBOY)といった、様々な系統のファッションが一同に介する商業施設となっている。

「誰もが知るラグジュアリーからモード、カジュアル、ヴィンテージなど、ライフスタイルやビューティに特化するのではなく、ファッションをメインにした売り場づくりをすることで、改めてファッションの面白さをお客様に感じてもらいたい」

マーケティングデータよりもパルコらしさを追求

 渋谷パルコは、ニーズを満たすのではなく、これまでの商業施設の枠を超えた新しい消費提案や価値観を創造するために、あえて特定の年齢層や性別にターゲットを絞っていないという。

 全く新しい次世代の商業施設にするためには、「詳細なマーケティングデータを意識せず、パルコの独自性を追求している」と話す泉水氏。

株式会社パルコ

株式会社パルコ 常務執行役の泉水 隆氏

「1973年にオープンした当時と今では状況が全然変わっています。これからはグローバルに情報発信できるビルを目指していかなければならないのはもちろん、渋谷という多様な街だからこそ、ターゲットを絞るのではなく『ノンエイジ』、『ジェンダーレス』、『コスモポリタン』と広義な意味での言葉を掲げ、個性を追求したり、感性で消費したりする世界中の人々に訪れてもらえるような商業施設を目指しています」

 ファッションやアート&カルチャー、フード、エンターテイメントなどそれぞれの魅力を引き出し、「渋谷パルコに来れば何か刺激を得られる」と思ってもらえるよう取り組んでいくとのことだ。

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