シャープ、ZOZOは…?社員から見たM&Aの「残酷な現実」
退職を余儀なくされる可能性も
M&Aによって生じるオーナーチェンジとは、これまでオーナーの考え方に惚れて仕事をしてきた人間にとっては、既存の会社に留まって働く意義を失わせてしまう大きな事件となります。M&A直後の会社は新しいオーナー(株主)が既存の社長・取締役を退任させ、新しい経営者を送り込んでくるケースも多くあります。
このような場合には、これまで中間管理職の人間が、社長や役員と培ってきた阿吽の呼吸で互いの信頼関係に基づき仕事を進めていたやり方ができなくなるのです。これまでとは異なる報連相や仕事のやり方を求められることになります。
また、業界やその会社を取り巻く環境を理解しきれていない新社長・新取締役が無理な依頼をしてくるケースも存在します。新オーナーからすると、従業員を大切にしてきた過去のオーナーの方針はあまり考慮する必要がなく、人員削減を行うと考えるかもしれません。また、考え方が肌に合わない従業員は退職を余儀なくされている可能性もあるのです。
信頼関係が将来を守る時代が終わる
ここまででお分かりいただけたでしょうか。M&A件数の増加は、サラリーマンの立場からすると、ある日突然これまでとは全く異なる人間関係・信頼関係の中で仕事を進めることが求められるリスクが高まって来たということです。
M&Aの増加とはすなわち、今の会社で長年かけて築いてきたオーナー社長や経営陣との信頼関係が、あなたの将来を守ってくれる時代は終わりを迎えていることを意味するのです。
このように、ある日突然、これまでとは異なる環境で働く必要が出てきたときに、サラリーマンはどうM&Aから自身の身を守り、生き抜くべきか、どのようにスキルを養っておくべきなのか新著『日本人が知らないプロリーダー論』で解説しています。
<TEXT/小早川鳳明>