仕事に情熱を持てなくてもいい?「好きを仕事にする」の落とし穴<鈴木祐×ときど対談>
「異分野の情報」でやる気アップ
――好きという気持ちが変わらなくてもモチベーションが下がることはあるのですね。その時はどう対応されてきたのでしょうか。
ときど:モチベーションが下がる時って、何をしていいかわからない時だと思うんです。僕の場合、人に話を聞くようにしています。知り合いでスポーツに詳しい医師からメンタルのキープの仕方を教えてもらったこともあります。おかげで結果が安定するようになりました。
鈴木:それはいいですね。「異分野の情報」を取り入れるのは大事なんですよ。人間の脳はつねに新しい情報を求めるように設計されているので、「ランダム性」を大事にして未知の体験を取り込むほどモチベーションを保ちやすくなるんです。
そういえば、ときどさんは空手の先生からもいろいろな教えをもらっているというエピソードが著書にも出てきましたね。
ゲームで勝つために肉体を追い込む
ときど:そうなんです。空手の試合にも出てみたほうがいいかなと思っています。格闘技のチャンピオンでゲーマーの人がいるんですけど、その人の試合スタイルに全く「油断」がないんですよ。僕にはない鉄の心がある。実際に肉体の痛みを伴う試合経験をすることで何か得られるものがあるかもしれない。
鈴木:肉体的な痛みは脳にも一時的なストレスを与えるので、そのリカバリーの過程でメンタルがより強くなる可能性はありますね。
チェスマスターであり太極拳の世界選手権覇者でもあるジョッシュ・ウェイツキンさん は、定期的に高負荷トレーニングもしているそうです。ゲームで勝つために、肉体を追い込むんですよね。
ときど:肉体を追い込むことでメンタルが鍛えられて、ここ一番で粘り切れる感じがあるんです。格闘ゲームって、平常心でいられないと勝てないんですよ。「今、メンタル揺さぶられたな」って感覚があるとどうしても弱いプレーになる。僕が普段筋トレをしているのはそういう理由もあります。