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演劇に打ち込む青年がパチスロにハマり借金500万円を背負うまで

コラム

「初めて借金したきっかけはパチンコ」という話はよく耳にしますが、なぜ彼らは生活費を切り詰めてまでハマってしまうのでしょうか。

空のサイフ

※画像はイメージです。(以下同じ)

少し物足りないけれど、充実した大学生活

 現在、コールセンターで派遣社員として働く佐々木敏夫さん(仮名・28歳)はまさにパチスロが原因で500万円の借金を背負っています。彼はかつて俳優を目指し演劇に打ち込む、真面目な若者でした。

「子供の頃から芸能活動をしていたこともあって、演劇が盛んな大学に進学しました。でも、入学すると不思議と俳優になりたいという気持ちがなくなってしまって……。多分自分の限界が見えてしまったんでしょうね」

 目標を失い、早々と大学の授業をサボるようになりますが、演劇から完全に足を洗うということに一抹の寂しさを覚え、裏方として演劇に関わり続けることを選びました。

「昼間は裏方として知人の公演を手伝い、深夜は飲食チェーン店でバイトの日々。月収は15万円くらい。たったこれだけですが、大学生活で一番充実していた時間でした」

尊敬していた先輩がまさか…

 そんなある日、佐々木さんは高校の演劇部の先輩から舞台を手伝ってほしいと誘われます。

「尊敬していた先輩でしたし、二つ返事で引き受けました。が、大道具を作るのにどうしてもお金が足りなくなってしまい、初めて消費者金融から10万円ほど借金をしました。とはいえ、『1か月のバイト代で返せる程度だし、ギャラも出るし、それで返せばいいだろう』と心配はしていませんでした」

 しかし公演は無事終了したものの、後日、片付けに作業場にやってきた佐々木さんは愕然とします。

「僕が貸し出していたトランシーバー4台、インパクトドライバー2台など、合わせて30万円くらいの作業道具が何者かによって盗まれていたんです。高校時代からコツコツと集めていたものだったのでショックでした。しかも、公演が赤字だったのか、ギャラも振り込まれず仕舞い。先輩はそのまま音信不通になってしまいました。恐らく作業道具は資金繰りに困った先輩が……」

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