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「いつかは家が欲しい」と思っている20代に伝えたいこと

暮らし

人生の幸福に必要なのは、家だけじゃない

 子どもが2人産まれたときのことまで、今から見通して買うのは不可能だと思う。だから、君がもし家を買うなら、環境が変化しても貸したり売ったりして損が無いマンションを選ぶといい。それは自然と逆算思考になる。自分が好きかどうか、ではなくて5年後に他の人が買いたいと思うか?だ。

 そういうマンションは今でも高いから、自分の目から見てコスパが良いマンションとは言えないかもしれない。でも、数年後の残存価値を考えて買うのは今の君にとって必要なことだと思う。

 もう一度、幸福の方程式を見直してほしい。人生の幸福に必要なのは、家だけじゃない。子どもにかける教育、家族で過ごす旅行や体験、仕事にさける時間や熱量、もしかして趣味に没頭できる時間もあるかもしれない。

 お金を払って幸福を生むもの、時間を使って幸福を生むもの、人それぞれ係数は違うから、そのバランスをとって一番幸福の量を大きくするのがゲームのミソなんだ。時間も貴重な資源だから、お金のために時間を犠牲にしすぎるのもじつは良くない。

 あと、人生の先輩として言っておくと、この「Z」というのは「奥様のご機嫌」だ。これから一緒にずっと住むことになる奥様の機嫌が良いか悪いかで幸福の量は驚くほど変わる。都会に住むことをあまり好んでいないかもしれないから意見を聞くといいよ。「奥様のご機嫌が良い家探し」は回り回ってコスパが相当高い。

郊外エリアは10年もしたら家が余る

マンション

 もし将来、通勤に多少時間をかけても、のびのびとした広い家で子育てしながら住みたいと思っているなら、選択肢は郊外しかない。郊外の戸建てを今買うのはやめたほうがいいかもしれない。

 今、東京の郊外は地方と同じ勢いで高齢化している。あと10年もしたら家は圧倒的に余ることになる。僕は典型的な東京郊外エリアの育ちだけど、同級生は地元に半分も残ってない。親が亡くなったら家が余るのが目に見えてる。

 逆に、東京都心になるべく近い場所に買いたいなら、早く買ったほうがいい。少子高齢化が進むと、ありとあらゆるサービスが縮小していくから残された人は都会に集まってくる。今、東京への人口の流入が止まらない。景気が悪くなっても、この傾向はさほど変わることはないと思ってる。

 ん?東京都心のどこに買えばいいかって?難しい質問だな……。今、どこでも高いしな。山手線の南側は、ウチの給料だと苦しいと思う。だから、山手線の北側の駅から徒歩で行けるところはどうかな。

 地位という、東京の土地の持つ格を気にして買う人がちょっと前までは多かったんだけど、君のように地方出身者が地位を気にせずに買う人が増えてきて、それよりも交通利便性とか保活の容易さなどを優先する人が増えてきた。

 山手線の北側、以前と比べるともうだいぶ高くなってきたけど、中古マンションならまだまだ僕らが買える値段で存在する。

 もちろん僕の住んでいる東京の湾岸エリアも悪くないと思う。山手線の北側と真逆の価値観だけど、合う合わないは人それぞれだから、奥様を連れて一度行ってみるといいかもね。

■ ■ ■ ■ ■

「いろいろとありがとうございます、先輩。ところでもう一つ質問があるのですが……」

「ん? なに?」

「先輩何者ですか?」

「湾岸エリアに住むただのサラリーマンです」

<TEXT/のらえもん>

湾岸タワマンに住んでいるという設定の湾岸妖精(ブロガー)。「マンション購入を真剣に考えるブログ」を運営。人間界ではいたって普通の都内勤務サラリーマン。著書に『専門家は絶対に教えてくれない! 本当に役立つマンション購入術』(廣済堂出版)など

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