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年収2000万円のキーエンスを1年で退職。“新卒”には価値がない?

学び

高年収企業「キーエンス」から起業の道へ

――高収入を手放し、独立する……かなり勇気のいることだと思うのですが。

吉田:楽観主義的なところがあるので、私個人はお金のことは意識していませんでした。キーエンスのマネジメント体制は「たくさん金を稼ぎたい」や「商談を何件達成して出世したい」といった、いわゆる“バブル時代”的なモチベーションをベースとしていたのですが、それも自分には合わないと感じていました。

 私のモチベーションには「後世に残るものを作りたい」というものがあり、このままキーエンスで営業職を突き詰めたときに、果たしてそれができるのだろうかと疑問に思ったのも退職理由のひとつです。

 もちろん、キーエンスで培った経験自体は今も十分に生きていると思います。時間や仕事の管理に対する基準が上がりました。どこに行っても何もキツくはないという感覚は手に入れられたと思います。

――どのような経緯で独立にいたったのですか?

吉田:ちょうど社会人2年目のときに、すでに独立していた大学の同期に誘われて、独立しました。

 社会人3年目のときには、VC(ベンチャーキャピタル)からドローン関連の事業を営んでいるベンチャー企業を紹介されたことも。従業員は5人ほどで、ベンチャー企業としてとても面白い時期だったので、渡りに船だと、その企業に参画することに決めたんです。

 順調に成功して約40人規模に成長したところで、ドローンのベンチャーからは離れることにしました。そのあと、ちょうど昨年度末から今年度初頭にかけて、キャリアチェンジとして、これまで携わっていた就活支援事業に加えて、転職ポータルサイトの運営を始めることにしたんです。30歳まではこの道で走っていこうと考えています。

今後の就活は“新卒”に価値がなくなる

吉田敬悟

――現在行っている事業の内容を教えてください。

吉田:新卒は個人事業として、転職は投資家より資金調達をし法人として運営しています。新卒の就職支援ではSNSを利用したり、1対1で対面して学生を指導しています。ポータルサイトはまだ立ち上げたばかりです。現在は投資家さんから出資をつのり、どのように事業を大きくしていくのか考えている最中です。

――就職支援には、どんな人が相談に来るのですか?

吉田:学生さんの場合は早慶、MARCHなど高学歴の方が比較的に多いです。支援はTwitterやLine@、FacebookなどのSNSを入り口にしています。そういったところにアンテナを伸ばすことのできる、情報感度の高い方が相談に来ているという印象です。

――新卒一括採用の廃止、終身雇用制度の崩壊などが叫ばれていますが、今後の就職活動はどのような流れになっていくと思いますか?
 
吉田:長いスパンで見ていけば、新卒という価値がなくなるのは間違いないでしょう。むしろそうなるべきだと思っています。極論、新卒という枠があるがゆえに大手企業の採用戦略も弱体化している。

 ただ、支援していても思うのですが、新卒だろうが既卒だろうが、制度が変わろうが、これからの時代に求められる人材の本質は変わらないと思います。

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